自民党が独自候補の擁立を断念したことで「無風」になる可能性も指摘されていた東京都知事選(2020年6月18日告示、7月5日投開票)に、新たな動きだ。元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(73)が5月25日にツイッターで出馬を表明した。宇都宮氏は、過去2回にわたって都知事選に出馬し、次点で落選。それぞれ100万票近く獲得している。
新型コロナウイルスをめぐる対応で露出が増える現職の小池百合子氏(67)の再選出馬が確実視されるなか、野党からは厭戦(えんせん)ムードもただよう。こういった中で、野党系の候補が宇都宮氏に一本化されるかも焦点だ。
過去2回の出馬では100万票近く得票
宇都宮氏は12年、14年の都知事選に共産党などの支援を受けて出馬。それぞれ96万8960票、14年に98万2594票を得た。16年の都知事選でも出馬を表明していたが、民進党(当時)を中心に野党統一候補として鳥越俊太郎氏(80)の擁立を進めたため、野党票の分裂を避けるために宇都宮氏は告示前日になって出馬を断念。共産党も鳥越氏の支援に回ったが、得票は小池氏の291万2628票に対して鳥越氏134万6103票と惨敗したという経緯がある。
宇都宮氏は20年3月中旬、「東京都の課題を語る2020」と題した動画をツイッターに投稿。カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致や都立病院の独立行政法人化を批判していた。動画は1月末に収録されたといい、新型コロナウイルス対策への言及はない。5月27日に予定されている出馬会見では、新型コロナ対策を含む公約を披露するとみられる。
旧民進系の野党2党は、総じて独自候補の擁立に消極的だ。立憲民主党の枝野幸男代表は5月8日の記者会見で、
「今、国会の中も、安倍さんには辞めてもらいたいという気持ちがありながら、今の状況で急に内閣が変わるということがあれば、それは一刻を要する対応に遅れをきたすという中のことでは、この緊急事態をある程度終えるまでは、それは、我々としてもいったん置いておいて、協力できることは最大限協力するということを、国の方でもやっていきたい。同じ状況は各地の首長についても言える」
と話し、国民民主党の玉木雄一郎代表は5月20日の記者会見で、
「今、感染症対策に緊急事態宣言下で一生懸命取り組んでいる首長さんの足を引っ張るようなことはやはり望ましくない」
と述べている。