時差通勤の努力を軽く凌駕したコロナ
満員電車を解消するための時差通勤は、すでに戦時中から検討されていた。軍需工場へ労働者を輸送する列車の混雑を緩和し、また生産の効率化を図るためである。戦後は一例として運輸官僚の角本良平が1956年に論文「時差通勤の必要と可能性」を発表、呼びかけは進んでいたが、大都市圏への人口集中も止まらなかったため、200%級の混雑は依然続いていた。しかしそれらとは比較にならない効果をコロナ禍はもたらした。
それでも、緊急事態宣言解除を目前に、すでに「電車満員」という乗客の声がネットに投稿されている。感染拡大前の混雑率には及ばないにしても、律義に会社への出勤を再開するサラリーマンが増えているということだろう。今後、ラッシュ需要がどこまで戻るかはわからないが、100年以上満員電車と付き合い続けてきた日本人のライフスタイルは、どこまで変わるだろうか。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)