菅直人首相の会見では「総理の存在自体が国民にとっての不安材料」
支持率が「危険水域」の政権では、記者会見の場で公然と辞任を求める質問が出ることもある。その一例が、東日本大震災発災から1か月ほど経った、11年4月12日に開かれた記者会見だ。当時の首相は民主党政権の菅直人氏。会見では、産経新聞の阿比留瑠比記者(現・論説委員兼政治部編集委員)が、
「現実問題として、与野党協議にしても最大の障害になっているのが総理の存在であり、後手後手に回った震災対応でも総理の存在自体が国民にとっての不安材料になっていると思う。一体、何のためにその地位にしがみ付いていらっしゃるのか」
などと質し、菅氏が
「阿比留さんのものの考え方がそうだということと、私が客観的にそうだということは、必ずしも一致しないと思っている」
「私とあなたのものの見方は、かなり違っているとしか申し上げようがない」
と不快感をあらわにした。
当時の政権支持率は、震災が起こる前から3割を大きく割り込んでいた。朝日新聞の調査では、震災前の11年2月の調査で20%、震災後の4月16、17日に21%と低迷。毎日新聞の調査でも、11年2月に19%、4月に22%と低水準だ。
菅氏が退陣を表明したのは、この記者会見から4か月以上が経った8月26日のことだった。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)