球史に残る破壊力抜群のクリーンアップは世代を超えて語り継がれている。阪神を球団史上初の日本一に輝いた「バース・掛布・岡田」、西武の黄金時代を築いた90年代の「AKD」砲...どの組み合わせも魅力的で野球ファンも迷うだろう。
プロ野球の歴史で「最強のクリーンアップ」はどの組み合わせだろうか。
今なお驚愕、1950年の記録
・1950年 松竹 小鶴誠、岩本義行、大岡虎雄
リアルタイムで見た野球ファンは少ないかもしれないが、驚異的な記録が並ぶ。3番・小鶴が.355、51本、NPB記録の161打点、28盗塁で日本球界唯一の50本塁打、20盗塁を達成。4番・岩本は打率.319、39本、127打点、34盗塁で別当薫とともにプロ野球史上初のトリプルスリーを成し遂げた。5番・大岡も打率.281、34本、109打点。「ラビットボール」と呼ばれるよく飛ぶボールを使用していた時代だったが、137試合でNPB歴代1位の908得点を叩き出し、セリーグ記録の98勝をマークした。
・1985年 阪神 バース、掛布雅之、岡田彰布
球団史上初の日本一を飾った1985年の阪神で、クリーンアップの打棒は驚異的だった。3番・バースが打率.350、54本塁打、134打点、4番・掛布が打率.300、40本塁打、108打点、5番・岡田が打率.342、35本塁打、101打点と3人で計129本塁打を叩き出した。クリーンアップ3人が30本塁打、100打点を挙げたのは50年の松竹、85年の阪神のみ。4月17日の巨人戦(甲子園)で槙原寛己から放ったクリーンアップのバックスクリーン3連発は阪神ファンの間で伝説だ。
・1990年 西武 秋山幸二、清原和博、デストラーデ
85~94年までの10年間でリーグ優勝9度と黄金時代を築いた西武。特に90年の強さは圧巻だった。2位・オリックスに12ゲーム差をつけて優勝し、日本シリーズでも巨人に4連勝。この年は、3番・秋山が打率.256、35本塁打、91打点、51盗塁で盗塁王、4番・清原和博は打率.307、37本塁打、94打点でリーグ最高出塁率.454、5番・デストラーデも打率.263、42本塁打、106打点で本塁打王と打点王の2冠を獲得した。チームの強さも重ね合わせ、「AKD砲」が最強と推す声は多い。
2000年以降ではやはり...
・2001年 近鉄 ローズ、中村紀洋、磯部公一
01年の近鉄は投手陣がチーム防御率4.98とリーグワーストだったが、「いてまえ打線」がリーグトップの770得点と打ちまくり、前年までの2年連続最下位からリーグ優勝を飾った。看板の強力打線の象徴がクリーンアップだった。3番・ローズが打率.327、55本塁打、131打点、4番・中村紀洋が打率.320、46本塁打、132打点、5番・磯部公一が打率.320、17本塁打、95打点をマーク。ローズが王貞治の日本記録に並ぶ55本塁打、中村は132打点で打点王を獲得。磯部はリーグトップの得点圏打率.417と勝負強い打撃で大きく貢献した。
・2003年 ダイエー 井口資仁、松中信彦、城島健司
同年のオープン戦で主砲・小久保裕紀が右ヒザを負傷してシーズン出場なしに終わったにもかかわらず、NPB史上最高のチーム打率.297をマーク。チーム総得点も歴代2位の822得点で日本一を達成した。3番・井口資仁が打率.340、27本塁打、109打点、4番・松中信彦が打率.324、30本塁打、123打点、5番・城島健司が打率.330、34本塁打、119打点。井口、松中、城島、バルデスが100打点以上をマークしたが、同じチームで4選手が100打点を記録したのはプロ野球史上初の快挙だった。