新型コロナウイルスの感染拡大によって、「オンライン名刺」の注目度が増している。
政府の専門家会議が2020年5月初旬に出した「新しい生活様式」には、会議とともに名刺交換もオンラインで行うよう提言されている。
バーチャル背景にQRコード
経団連が5月14日に公表した「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」にも、「名刺交換はオンラインで行うことも検討する」との一文が盛り込まれた。「検討」と柔らかい表現ながら、これまで対面が当然だったことを考えると、踏み込んだ印象を受ける。
オンライン名刺で一歩先を行くのは、Sansan(東京都渋谷区)だ。法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」は6月から、「オンライン名刺機能」「オンライン名刺交換機能」を盛り込む予定だ。サービス開始前ではあるが、5月14日の時点で利用表明企業は1000社を超えたとしている。
3月11日の発表で同社は、新型コロナや東京オリンピック・パラリンピックにより、テレワークなどへの移行が迫られているとする一方で、現状「オンラインでの名刺交換の形は確立していません」と、新機能導入の理由を説明する。
Sansan社の個人向け名刺管理サービス「Eight」も、プロフィールページを共有する「QR名刺交換」機能を始めた。出力したQRコードは、ウェブ会議システムの「バーチャル背景」として利用でき、オンラインで完結する商談でも、名刺のやりとりができるよう配慮。あわせて、Eightに関わる従業員140人について、原則オンライン名刺に移行すると発表した。