新型コロナウイルスの感染防止対策で、コミックマーケットをはじめ様々な同人関連イベントが中止になった日本。
近年、サブカルチャーが隆盛な台湾も例外ではなく、中止とまではいかずとも多くのイベントや同人作家らが影響を受けている。そんな中、台湾当局が「藝文紓困」と題した芸術関連事業者への補助金を支給すると発表。対象者は同人活動者、及びコスプレイヤーにも及ぶ。日本のSNSでもその一部が紹介され、話題を呼んでいたが、どんなシステムなのだろうか。
個人事業主で約22万円
台湾の行政機関である「文化部」は2020年4月30日、新型コロナウイルスの影響により事業の継続が困難となった芸術関連事業者に対し、補助金の申請が可能であると発表した。
この政策は新型コロナウイルスの影響を受けた関連事業者の状況に応じ、家賃減免、従業員の給料補償、事業継続資金などの補助が受けられるもの。いわば、芸術方面に特化した持続化給付金といった所だろう。芸術関連事業者、と言われるとアーティストや音楽家をイメージしてしまいがちだが、対象者はなんと同人作家やコスプレイヤーとして活動している個人事業主も含まれている。
台湾版コミケ「台湾動漫祭」などを運営する「ファンシーフロンティア」の公式サイトが分かりやすくまとめた資料によるとこの「藝文?困 2.0」(文化芸術救済という意。2.0は4月30日発表の初期案から少々改変があったため、アップデート版として付けられている)は、個人事業主が6万元(約22万円)、登記のある企業が250万元(約900万円)を上限とした補助金を受け取ることが出来、オンラインまたは郵送での手続き方法が用意されているとのこと。
現職議員にコスプレイヤーもいる台湾
これらは会社員やアルバイトなどに従事し、副業として同人・コスプレ活動を行っている者は対象外となっており、あくまでも専業の同人作家またはコスプレイヤーとして生計を立てている人々のための支援であることが明記されている。とはいえ、この他にも数々の補助金を手厚く用意しているため現状「全く補償がされていない」というケースは少数だろう。
コスプレイヤーとしても活躍している立法議員(日本でいう国会議員)頼品妤氏をはじめ、「台湾動漫祭」に蔡総統が来場したほか、行政院長・蘇貞昌氏の公式フェイスブックでは人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」画像が登場するなど、漫画、アニメ、ゲーム産業に明るいイメージのある台湾。5月20日に就任式典を行った蔡総統は「どの産業も決して見捨てない」と宣言したが、その範囲は同人・コスプレ活動にもわたるようだ。
(フリーライター 室園亜子)