どこまでが消防法令上の「カーテン」か
消防法では、特定の施設(防火対象物)に設置する特定の物品(防炎対象物品)について、「防炎性能」を持たせるようにと規定がある。取材に応じた総務省消防庁予防課の担当者によると、防火対象物としてあげられている施設には劇場や飲食店、旅館、病院などに加え、「百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場」がある。ここにコンビニやスーパーなども含まれてくる。また、防炎対象物品の中には「カーテン」が明記されている。「防炎性能」にも、火をつけてから燃え終わるまでの時間や、燃え終わるまでに炭化する面積など、細かい規定がある。
総務省消防庁の担当者は、ビニールカーテンについてはこうした「防炎」に関する点と、「防災設備への支障」に関する点の2つが論点として考えられるとする。冒頭に示した自治体の注意喚起の2点と同様だ。
まず「防炎」に関して、「持つべき防炎性能は設置場所の状況なども関係します。火元になるものが近くにないことはもちろん、人が常駐していれば予防上支障がないとして、規制対象外と判断されることもあります」とした上で、新型コロナ対策のビニールカーテンについてこう話す。
「コンビニのビニールカーテンでいえば、レジカウンターに火元はないし、店員が常駐していますね。ただし、あまりないとは思いますが、コンビニでも揚げ物用のフライヤーのすぐそばに置くとか、小規模飲食店で厨房の火元のそばにレジがあって、そこにビニールカーテンをかけるとかいった場合は、防炎性能が必要になってくるでしょう。
また、そもそもビニールカーテンのうちどこまでを消防法令上の『カーテン』に含むかという問題もあります。天井から吊り下げていれば含まれるでしょうが、顔と顔を遮るだけのちょっとした幕を『カーテン』というべきかといえば、そうではないと思います。過去には『のれん』の解釈をめぐって、設置形態や火災予防上の支障の有無に鑑みて『カーテン』にあたるかどうかを個別判断することになった例もあります」
そのため、個別のケースについては「地元の消防署や消防本部にご相談いただけば、対応していただけるでしょう」という。流通するビニールシートの商品には防炎性能を満たしたものもあり、火元が近くにある状況などであればこうした物を設置することになるとみられる。ただし、「各消防本部からも、ビニールカーテンの防炎性能に関して事業者が具体的に困っているという話は聞いていません」としている。