新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の緊急経済対策として実施される1人10万円の特別定額給付金について、誤って受給を断ってしまう懸念が指摘されている。総務省がつくった見本の申請書に「受給を希望しない人」用の「チェック欄」があり、勘違いするおそれがあるためだ。実際に給付事務を行う自治体では、分かりやすさを重視して書式を工夫しているところもある。
山形市では、見本に設けられていた「チェック欄」をそもそもなくした。福島市では、不要な場合に「辞退」と記入する形式に。須坂市では「希望する」と「不要」の2つの欄を設け、どちらかにチェックを入れるようにしている。
総務省「必ずしも世帯全員が受給しないことがあり得る」と欄を作るが...
特別定額給付金は、2020年4月27日時点で住民基本台帳に記録があれば誰でも受給できる。「郵送申請」の場合、申請書に記入し、本人確認書類や口座確認書類を添える。
申請書については総務省が「見本」として様式を2つ示している。申請は世帯単位で行うため、給付対象者(世帯員)を一覧で書く項目がある。懸念されているのは「様式1」にある、各対象者の受給意思を確認するチェック欄。「給付金の受給を希望されない方はチェック欄(□)に×印を御記入ください」と書かれているが、実際は希望している人が誤ってチェックを入れてしまわないかと指摘があがっている。
河野太郎防衛相も5月14日、ツイッターで「定額給付金の申請書の『希望しない』に勘違いでチェックをつける人が多いようです。間違いないように気をつけましょう」と投稿。10万件以上の「いいね」がつくなど注目された。
総務省特別定額給付金室の担当者は21日、J-CASTニュースの取材に、見本の中で「希望しない」のチェック欄を設けた理由について「必ずしも世帯全員が受給しないことがあり得ると思われるためです」と話した。単身世帯で受給を希望しない人の場合、申請書を出さなければ済む。しかし、2人以上の世帯では希望する人と希望しない人が同居している場合が考えられる。これに対応するため、見本に同チェック欄をつくったという。
実際に申請を受け付け、給付事務にあたるのは自治体(市区町村)になる。申請書の様式も総務省の見本をそのまま踏襲する必要はなく、自治体ごとに用意することになる。「希望しない」のチェック欄についても、受給の意思を明確にするために工夫している自治体がある。