課題が多いオンライン申請
オンライン申請では、政府の専用サイト「マイナポータル」を活用する。四條畷市では5月15日時点で約700件の申請があり、東氏は「この手順に最大の課題があります」と指摘する。
申請情報を把握するには、マイナンバーカードの情報処理を行う「J-LIS(地方公共団体情報システム機構)」から申請データを自治体側の端末にダウンロード→zip(圧縮)ファイルを解凍→CSVデータを申請書の様式に変換→印刷...とステップを踏まなければならない。
オンライン申請では不備も目立つといい、東氏はその理由を次のように述べる。
「マイナポータルでは打ち間違いなどに対してエラーは出ず、何を書いても申請できる仕様となっています」
「口座情報などの添付書類についても、どんな画像データでもアップロード可能です」
「同じ人が何度でも申請可能な仕様になっており、もっと言えば、世帯人員に何人でも書くことができます」
そのため、対象者に電話や郵送で再申請をお願い(マイナポータル上では連絡不可)するケースもあり、給付は「郵送より遅くなる可能性があります」という。
実際、香川県高松市は19日、マイナポータルのシステム上の問題や誤入力などにより給付が遅れているとして、24日からオンライン申請を中止し、郵送に一本化すると発表した。
東氏は「何より、こうした仕様であることは自治体には事前にまったく知らされていないため、対応策等を練る時間もなく申請受付を開始した経緯があります」と不満を漏らし、「(マイナンバーカードの暗証番号の)再設定は役所まで来ていただかないとできない仕様になっています(中略)さらに、再設定の際には役所のシステムから国のシステムへとアクセスする必要があるのですが、国のシステムへのアクセスが殺到したことで数時間待ちになり、役所に行列ができる自治体が出てくる事態となっています」と制度設計の不備により実害も出ているとした。