「誰かの一存で切り捨てられるのは...」
緊急事態宣言下では雇用調整助成金を受け取り、休業しようと考える事業者もいる。しかし、ホテルロアンヌは助成金の手続きに申請がかかり、休業したとしても維持費や給与が支払えないとして、営業を続けてきた。担当者は「従業員それぞれの生活がある中で『休業』と『雇用』の両立は難しく、休業を選びたくとも選択できない状態でした」と話す。
ホテルロアンヌは風営法の店舗型性風俗関連特殊営業第4号に該当する「ラブホテル」だ。国は新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受ける中小事業者に「持続化給付金」を支給しているが、性風俗事業者は給付対象外となっている。福岡県が独自に支給を発表した「持続化給付支援金」も、性風俗業は対象外だ。給付が受けられないことに加え、県で4月から徴収が始まった「宿泊税」も重くのしかかった。
日本政策金融公庫の緊急融資「新型コロナウイルス感染症特別貸付」に駆け込んだが、門前払いされたという。担当者は「融資がないと、この先(経営が)厳しい状態になっていく」と危機感を募らせるが、「民衆の理解を得られない」という理由で融資を断られたのが何よりも悲しかったと話す。
「『こいつらは必要ない』と言われたような、そんな気分です。今あるホテルは私どもにとってとても大切なホテルですし、好きでいてくださる方々にとっても大切な場所。それを誰かの一存で切り捨てられるのは納得がいきません」