2020年5月17日に放送された「ワイドナショー」(フジテレビ系)で、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさん(27)が行った検察庁法改正案への抗議についてのツイートが紹介された。
きゃりーさんは10日、ツイッター上で同法案への抗議が盛り上がりを見せる中、「#検察庁法改正案に抗議します」とのハッシュタグを付けつつ、同法案の論点が整理されているとする相関図をツイート。同ツイートはきゃりーさんの主張に賛同するファンと反対するファンの間で激論を呼び、きゃりーさんのアカウントは「炎上」した。
「若者文化のアイコン」からの政治主張に驚きが広がった
このため、その後、きゃりーさんはツイート消去。ツイートを行った真意についてきゃりーさんは、法案については「今コロナの件で国民が大変な時に今急いで動く必要があるのか」と説明。また、画像については「若い方でもわかりやすいように画像を掲載させていただきました」と明かした。
とかく、ネット上では荒れがちな政治に関するツイート。それでも、今回、きゃりーさんは自らの主張を明かすべく行った。抗議の声を上げた芸能人は他にも多数いたが、「若者文化のアイコン」とでも言うべききゃりーさんが声を上げたことに驚く声は多く、きゃりーさんのツイートはネットニュースで大きく報じられるなど、話題を呼んだ。
一方、17日放送の「ワイドナショー」では、きゃりーさん同様、「若者文化のアイコン」と呼べる存在から、検察庁法改正案への抗議およびきゃりーさんのツイートへの意見が飛び出した。
元HKT48の指原莉乃さん(27)は、今回の検察庁法改正案への抗議についてはツイッター上で知ったことや、同運動への賛同をツイッターユーザーから促されたとしつつ、「(賛成派と反対派の)双方を話を聞かずに、どっちもの意見も勉強せずに、『広めなきゃ!』っていう人が多い感じがしている」と指摘。「正直、この件に関して私はそこまでの信念がなかったので、つぶやけなかった」と、自らは行動を起こさなかった理由を説明した。
共通項の多い2人、違っているのは...
声を上げることを促すツイートが寄せられてたことは明かしつつも、きゃりーさんとは対照的に「つぶやかない」立場を選んだことを明かした指原さん。今回の件に関しては真逆の反応を示した2人だが、実は、2人の芸能人としての立ち位置を分析してみると、「ツイッター上での強力な発信力」に加え、「共に1992年度生まれ」という、若者への訴求力が強い女性タレントであることが分かる。
それでも、今回の件に関しては2人の行動は真逆の反応を示したわけだが、その分かれ目は、「ずっとソロで芸能活動を行ってきた」か、「グループとしての芸能活動が長かった」という点に集約されるかもしれない。きゃりーさんは2011年のデビュー以来、一貫してソロの芸能人として活動。ソロである以上は自らの信念を強く持ちつつ、批判の声に負けない「一点突破」とでも言うべき瞬発力が要求される状況に置かれることは想像に難くない。
一方の指原さんは2007年にAKB48の5期生オーディションに合格して48グループ入り。2012年にはHKT48に移籍し、2019年4月28日に卒業コンサートを持ってグループを卒業するまで12年間にわたってグループアイドルとして活動していた。そう考えると、そこで培われるのは「協調性」や「慎重さ」であり、それは、今回の指原さんの「そこまでの信念がなかったので、つぶやけなかった」という発言にも表われているのではないだろうか。
2人の「後ろ盾」になる大物が!?
ただ、今回の動きは、2人が「芸能界の若手論客」になる可能性も秘めているのではないだろうか。というのも、きゃりーさんの発言に関しては、「ワイドナショー」の裏番組である「サンデージャポン」(TBS系)で、「爆笑問題」の太田光さん(55)が、きゃりーさんへの批判について、「全く聞く必要はない」と擁護。太田さんは12日深夜の自身のラジオ番組「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ)でも、「ちゃんと税金払っているから、政治に口出したっていいじゃねぇか」と、やはり、きゃりーさんを擁護しており、その主張を是としていたのだ。
一方、指原さんについては、「ダウンタウン」の松本人志さん(56)が、やはり後ろ盾として機能しそうだ。松本さんは指原さんと共に出演した「ワイドナショー」で、芸能人が政治的な意見を述べることについては「全然いいと思う」としつつ、自身については「1回やると、次もやらないと、何で今回はやらないのか? となってしまう」と慎重姿勢。その思慮深い態度は指原さんと通じるものがある以上、松本さんは指原さんの守護者として機能する可能性は十分になるのではないだろうか。今回の件をきっかけに、きゃりーさんと指原さんが政治的な話題にも言及できる芸能人となる可能性は、決して否定できないのではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)