新型コロナウイルスにより、世の中の様相が大きく変わろうとしている今日この頃。2020年5月4日には厚生労働省から「新しい生活様式」が公表された。
今回は「新しい生活様式」から鉄道の日常風景がどのように変わるのか、いろいろな観点から予想してみる。
2列+1列転換クロスシートが人気を集める?
5月4日に公表された「新しい生活様式」の実践例では4つの項目に分け感染防止対策を具体的に示している。個人的に気になったのは「人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける」と「会話をする際は、可能な限り真正面を避ける」である。
上記の具体例から考えると、旧国鉄時代からの伝統的な4人対面ボックスシートの維持は厳しいのではないか。4人が座ると各人との間隔は狭く、家族や友人の場合は真正面の会話が避けられない。場合によっては向かい側の座席を空席にし、2人利用に限定することも考えられる。
これからは関西空港と大阪方面を結ぶJR西日本「関空快速」の車内で見られる2列+1列転換クロスシートが人気を集めるかもしれない。個人で2列の転換クロスシートに座ると、どうしても隣の人との間隔が気になるものだ。1列だと間隔を気にすることなく利用でき、自然とリラックスできる自分がいる。もしかすると近郊電車だけでなく特急列車普通席も2列+1列の座席レイアウトを採用するかもしれない。
車内は静かになる
関東と関西の鉄道風景で最も異なる点は車内の会話だ。関東圏の車内は総じて静かだ。子どもが少しでも大きな声で話そうものなら「電車では喋ってはいけません!」と親が注意するシーンは新型コロナウイルス騒動以前から見かけた。一方、関西では車内での会話は日常風景だ。場合によっては大きな声で話す乗客もおり、内容が筒抜けになることも珍しくない。
しかし、今後は関西の鉄道風景も関東と同じになるだろう。「新しい生活様式」によると公共交通機関の利用において「会話は控えめに」と書かれている。「控えめ」がどのレベルが難しいところではあるが、少なくとも「車内では静かに」というのがルールとして浸透すると予想する。
いろいろな意見はあるだろうが、今後も呼吸器系感染症に強い社会づくりのため、次々と鉄道の日常風景が変わることだろう。
(フリーライター 新田浩之)