アメリカ行きの飛行機内はお祭り騒ぎ
当時、鳥谷の盗塁には賛否があった。「勇気ある走塁」とみるファンもいれば、ギャンブル的な要素を含む盗塁に「無謀」との声も上がった。だが、鳥谷はしっかりとしたデータに基づいて盗塁を決めた。そして鳥谷の盗塁が井端の同点打を呼び込み、延長10回の逆転勝利に導いた。
「台湾戦は非常に厳しい戦いでしたので強く印象に残っています。台湾の先発・王建民投手はいい投手でしたが、ピークの過ぎた投手というイメージでした。それが試合が始まったら王建民投手のツーシームが打てない。8割がたツーシームでしたが、変化が非常に大きく打ちあぐねた感じです。選手たちは会場が東京に移ってから重圧があったと思います。絶対に決勝ラウンドに行かなければならないと。予選ラウンドを突破し、羽田からアメリカに行く飛行機の中は、一時的に重圧から解放されお祭り騒ぎでした」(橋上氏)
決勝ラウンドではプエルトリコに1-3で敗れ3連覇を逃した日本だが、橋上氏はプエルトリコ戦を次のように振り返る。
「プエルトリコはどちらかといえば、日本に近い細かい野球を展開していました。日本としては組みづらい相手でした。大味な野球をするチームなら付け入るスキはあったと思いますが、投手力、機動力といった点で優れており、バントも多かったと思います。キャッチャーのモリーナの存在も大きかったですね。肩の強さもそうですが、打者の表情を読みながら配球を考えていました。モリーナを中心にまとまりのあるチームでした」(橋上氏)