新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のための休校が続く小学校の一部で、家庭学習用の「時間割」の導入が進んでいる。学習の進め方に頭を悩ませていた保護者にとっては、具体的なスケジュールが示されて「ありがたい」という面もある一方、月曜から金曜まで毎日4~5限組まれている小学校もあり、共働きやシングルペアレントの家庭では十分に面倒を見切れないという懸念もある。
「家で子ども1人にやらせてうまく進められるかどうか...」。小学生の子をもつ東京都在住の女性は戸惑いを隠さない。夏休みの復習課題などと違い、新たな時間割では新学年の教科書を進めていく内容もあるため、子ども1人で学ばせるには限界がある点は否めない。子どもの小学校で家庭学習の時間割が導入された4人の保護者に、現状と率直な心境を聞いた。
「できなかった内容は土日に回さざるを得ません」
文部科学省の2020年5月13日の発表によると、臨時休校は全国80%の公立小学校で25~31日の週まで続く。北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、京都、兵庫の8つの特定警戒都道府県をのぞく39県では、緊急事態宣言が14日に解除されたことを受け、学校再開を1週間程度前倒しすることを検討する自治体も出てきている。それでも家庭学習はもう数週間、多くの地域で続きそうだ。
テレビ電話によるJ-CASTニュースの取材に応じた、東京都武蔵野市在住の女性Aさん(36)。共働きの夫と、市立小学校に通う4年生の娘の3人で暮らしている。
ゴールデンウィーク(GW)中の5月4日に緊急事態宣言が延長され、休校期間も5月末まで長引くと、家庭学習の進め方が変わった。4月までは漢字ドリルや計算ドリルを使った「復習」が中心だったが、5月11日からは学校作成の「時間割」をウェブサイトからダウンロードし、これに沿って進めるようになった。7日ごろに学校から連絡があったという。
「時間割」には11~15日の1週間について、1コマ45分で4限までの各教科と学習内容が、タイムテーブルとともに書かれている。たとえばある日の2限に組まれた算数には「P.○の×番の問題をとく」といった具体的な内容が箇条書きで並んでおり、補助教材のプリント類も提供された。毎週金曜日に翌1週間分の「時間割」が新たに配布されるというサイクルが、5月末まで続く予定という。
Aさん自身は新型コロナウイルスの影響で勤務日が減少しているが、休業しているわけではない。詳細な「時間割」が配布された時は「家で子ども1人にやらせてうまく進められるかどうか...」と戸惑ったという。オンラインの映像教材を使う学習もあり、「目と耳で学べる、口で説明してくれる教材があるのは助かります」とする一方、親にかかる負担について複雑な胸の内を明かす。
「新学年の教科書を使うので、まったく知らないことを新しく学習していくことになります。少なくとも『復習』ではないため、子ども1人で学ぶには難しい内容が出てくると思います。そうなると親がついて教えないといけない。休みの日は私が勉強を見ることができますが、勤務日は難しく、学習できなかった内容は土日に回さざるを得ませんね。私も夫もテレワークの日がありますが、テレビ会議などもあるので、ずっと子どもに張り付いているわけにはいきません。いきなり毎日時間割で、というのではなく、徐々に取り入れていってほしかったなとは思います」(Aさん)