中国系記者への憎々しげな対応
2016年の大統領選でトランプ氏を支持し、再選を望んでいるというジェフ(30代)は、「僕には中国人の友人が何人もいるし、人種差別主義者ではない。問題は中国人ではなく、あの国家だ」と断ったうえで、こう話す。
「トランプは問題発言も多いけれど、僕ら庶民の気持ちをズバリ、代弁してくれる。中国は一党独裁で、しかも経済大国になって金があるから、情報を隠蔽したり操作したり、とやりたい放題だ。反省や謝罪をするどころか、ウイルスをばら撒いたのは米国だ、などと言い出す始末だ。WHOも中国寄りだから、台湾を完全に無視したよね」
中国は、初期の段階で警告を発した医師の口を封じた。また、世界中からマスクなどの医療物資を大量に買い漁るために、中国がWHOに圧力をかけて「パンデミック宣言」を先送りさせたとの疑惑が、米CIAの調査で浮上している。
新型コロナウイルスはヒトからヒトへ感染すると、台湾が早い段階で警告していたが、WHOは政治的に中国に気を遣い、それを無視したと国際的に批判を浴びた。
ジェフは、2020年5月11日の記者会見での、トランプ氏とCBSニュースの中国系女性記者とのやり取りに触れた。
この記者がトランプ氏に、「コロナウイルスの検査が他国よりはるかに優れていると、あなたは何度も言いましたが、なぜそれが大事なのですか。あなたとっては、国際的な競争なのですか。今も毎日、アメリカ人が亡くなり、感染者も毎日、増え続けているというのに」と質問した。
するとトランプ氏は、「人が亡くなるのは、世界中どこでも起こっていることだ。その質問は『チャアイナア』に聞くべきだ。私に聞くな。チャイナに聞いてくれ。いいかい?」
トランプ氏は、「チャアイナア」と憎々しげに答えた。
記者は、自分がアジア系だとわかるようにだろう、マスクを外し、強い口調で言い返した。
「なぜあなたは、『私』にそう言うんですか。私だからですか」
「誰だから言っているわけじゃない。意地の悪い質問をする人には誰でも、そう言うんだ」
「意地の悪い質問ではありません」
トランプ氏はそのあと、自ら指名した別の女性が質問するのをさえぎり、唐突に記者会見を打ち切ったのだ。
この会見について、ジェフはこう言う。
「トランプのあの態度には、僕もちょっと驚いた。記者がアジア系だったから、ああいう言い方をしたと批判する人は多いけれど、記者が白人であろうとトランプは同じように答えたと思うよ。中国人じゃなくて、中国に対して苦々しく思っているんだ」