大手証券3社は増益
それでも大手証券5社の2020年3月期連結決算を見ると、最終損益はいずれも黒字を確保している。19年4~12月期の株価復調が追い風になり、野村ホールディングス、SMBC日興證券、みずほ証券の3社は増益だった。19年3月期には買収先の「のれん代」の減損処理で1004億円の最終赤字に落ち込んだ野村ホールディングスは、20年3月期には2169億円の最終黒字に回復した。株価は大荒れだった20年1~3月期には手元資金を確保しようと企業が相次いで社債を発行したため、その発行手数料も大手証券会社の収入になった。
緊急事態宣言が発令されたのは2020年4月7日だったため、3月末までの決算には反映されていない。また、底を打った株価がこのまま回復していくかどうかは、移動規制の解除を始めた先進各国における感染の今後の推移や、感染拡大が続く新興国の動向次第で、不確実性が極めて高い。何とか1~3月期は乗り越えたものの、大手証券会社には綱渡りの経営が続きそうだ。