レジ袋有料化と「プラごみ削減の本丸」 さらなる対策が必要な理由

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   プラスチックごみによる環境汚染を減らすため、スーパー、コンビニなど小売店で2020年7月からプラスチック製レジ袋の有料化が義務付けられる。すでに4月から有料化を始めた店もあり、消費者は環境に配慮したライフスタイルへの変換が求められている。

   プラスチックごみは、特に近年、海洋汚染の深刻化が世界的な問題になったこともあって、削減に向けた対策を求める声が高まり、政府は2019年12月、容器包装リサイクル法の省令を改正し、20年7月からのレジ袋有料化を小売店に義務づけた。プラ製品の使い捨て文化に転換を迫るものだ。ただ、丈夫で繰り返し使える厚さ0.05ミリ以上の厚手の袋や、微生物などによって海で分解されて自然にかえる海洋生分解性プラスチック袋、植物由来のバイオマスプラスチックの配合率が25%以上の袋は、例外として無料提供できる規定も設けた。

  • レジ袋有料化で変わるコト、変わらないコト(写真はイメージ)
    レジ袋有料化で変わるコト、変わらないコト(写真はイメージ)
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前倒しで「無料配布中止」の企業も

   いち早くレジ袋削減に取り組んできたのがスーパーだ。イオンは2007年にレジ袋の無料配布を中止を打ち出しており、19年夏時点で国内スーパー2000店(全体の8割)が実施済み。グループの小型食品スーパー「まいばすけっと」も、この4月から導入した。

   レジ袋の使用頻度が高いコンビニも対策に乗り出した。それぞれ年間使用量が4万~5万トンになるとみられるセブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの大手3社はバイオマスプラスチックの配合率が30%のレジ袋を開発し、導入を開始または準備しており、7月以降、すべてこのレジ袋に切り替える。このレジ袋は有料化義務の対象外だが、それでも3社は7月から有料にし、プラごみ削減を進める方針だ。

   百貨店も動く。高島屋は7月を待たず、4月から国内全店の食品売り場のレジ袋を有料化。プラ製レジ袋は1枚2~8円、紙袋は20円で販売している。

   大手ドラッグストアでは、来年秋の統合が決まっているマツモトキヨシホールディングス(HD)とココカラファインが4月から、それぞれ全国1700店、1360店で有料化。スギ薬局などを傘下に持つスギHDも7月から前倒しを検討している。

   アパレルではファーストリテイリングが展開するユニクロ、ジーユーで昨秋から、プラ製レジ袋から紙製への切り替えは順次進めている。4月からは紙袋の有料化(1枚10円)を計画していたが、紙袋の仕様変更などで行き渡っていないため、有料化は延期している。

企業ごみの問題などを含め、法改正も視野

   自治体ぐるみの、先進的な取り組みもある。富山県は2008年、賛同する県内スーパーなどの業者と協力し、208店でレジ袋の有料化をはじめ、19年までに500店超に増えている。この取り組みのため、県は折りたたむと名刺サイズにあさまるエコバッグを配布し、業者も独自に繰り返し利用できる袋を配布するなど、官民の協力の成果で、有料化した店舗のマイバッグ持参率は95%にも達するという。

   小売店にプラスチック製レジ袋の提供を全面的に禁じる全国初の条例が3月に成立したのが京都府亀山市だ。有料での配布も認めないもので、2021年1月1日施行される。同市は山間の峡谷を流れて嵐山に至る保津川が流れ、その川下りが重要な観光資源だが、近年はプラスチックごみが大雨の後に多数流れ着くなど、観光への影響が無視できなくなっていた。市は19年夏から「富山方式」でスーパーなどの業者と協力してレジ袋の有料化始め、半年でマイバッグ持参率が57%から84%(20年2月)に高まる成果を上げており、この延長上での条例制定だった。

   ただ、国内のレジ袋使用料は推定20万トンで、年間900万トンに達する国内のプラごみの2%余りにすぎず、プラごみ削減の「本丸」は企業が出す産業廃棄物扱いの700万トンだ。容器包装リサイクル法は、自治体に分別回収、製造・販売業者に再商品化などを義務付けているが、家庭から出るごみが対象で、企業のごみは含まれない。

   政府は2019年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」で、2030年までに、使い捨てプラを25%削減▽容器包装の6割を再利用・削減▽バイオプラスチックなどの再生材利用を倍増――などの数値目標を打ち出している。企業ごみの問題などを含め、法改正も視野に、近く有識者による検討会(経済産業省・環境省の共管)を設けて検討を始める。

   レジ袋有料化は、実は、東京五輪・パラリンピックに向け、環境問題に取り組む姿勢を世界にアピールする狙いもあった。それでも重要な1歩には違いないが、本格ごみ的なプラごみ削減には抜本的な総合政策が必要だ。

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