「与党は甘く見ていた」 答弁下手の森雅子法相、引きずり出され...案の定「botみたい」

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   検察庁法改正案の審議のため、森雅子法相が2020年5月15日の衆院内閣委員会に出席したが、用意された原稿を繰り返し読むだけに終わり、野党との議論は噛み合わないままだった。

   野党側は、改正案の採決に抵抗するため、引き延ばし戦術を採ったようだ。ツイッター上などでは、反対の声も高まっているが、このまま与党側は採決に向けて押し切るのだろうか。

  • 答弁する森雅子法相(衆院インターネット審議中継から)
    答弁する森雅子法相(衆院インターネット審議中継から)
  • 答弁する森雅子法相(衆院インターネット審議中継から)

定年延長の基準についても、「人事院規則に準じて定めます」と棒読み

   内閣委が始まった15日13時50分過ぎ、衆院サイトのインターネット審議中継の映像が固まってなかなか表示されない。サイト上では、「アクセスの集中により視聴しづらい状態」となっているとのお知らせが出たほどだ。

   ツイッター上では、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグが数百万件も投稿されるなど、審議の行方に関心が高まっていることがあるらしい。

   国会前では、反対派によるデモも展開されるなどしたが、肝心の審議の方は、これまでの与野党の応酬が繰り返されただけだった。

   13日に引き続き答弁に立った武田良太国家公務員制度担当相は、「こんな質問なら法務省に出してほしいが、通告を出してもらえなかった」として素っ気ない発言を繰り返し、続いた森法相も、自分の言葉をほとんど使わず、用意した原稿を棒読みしたような答弁が目立った。

   元検事総長ら検察OBがこの日、法務省に提出した改正案に反対する意見書についてコメントを求められると、森氏は、「様々な意見は承知しており、引き続き真摯に説明したい」とだけ述べた。

   「森大臣には、定年延長の基準を明確に示してほしい」と国民民主党の後藤祐一氏から迫られても、「新たに定められる人事院規則に準じて定めます」といった内容の原稿を読み上げてかわす。

それでも与党は来週に法案通そうと?有馬晴海氏の見立て

   内閣委審議が始まって1時間余りが過ぎたころ、後藤氏ら野党側は、堂々巡りの状況に業を煮やし、「全然答えていない」として松本文明委員長(自民党)に詰め寄る騒ぎにもなった。

   国会の外での「検察庁法改正反対!」のシュプレヒコールが室内にも響く異様な雰囲気だったが、議論は最後まで平行線をたどった。

   日本維新の会の足立康史氏が「野党の主張にも一理あるが、改正案は言うほど悪くない」と与党寄りの質疑をした後に、内閣委は休憩に入った。しかし、1時間弱で審議が再開されたものの、松本委員長が武田国家公務員制度担当相に対して野党から不信任決議案が提出されたことを告げ、そのまま散会となった。

   内閣委の審議を伝えるニュースサイトのコメント欄などでは、与党に厳しい声が続々寄せられている。「武田、森大臣ともにTwitterのbotを実写化したような答弁」「後で悪いようにはしないからとりあえず通して下さいなんて」「不信任案出されてもこれは仕方ない」といったものだ。

   ヤフーニュースが5月14日から集め始めた「みんなの意見」では、「検察の定年延長案について、どう思う?」との問いに15日夕現在で7万人以上から投票があり、その約9割が延長案に反対していた。

   政治評論家の有馬晴海氏は、森法相を出席させた与党の対応について、J-CASTニュースの取材にこう話した。

「森大臣は、答弁がうまくないので、武田大臣で終わらせようとしたが、野党が前回、審議途中で退席したので、野党の要求を飲んで森大臣を出しました。森大臣は、レクチャーを受けて、こう答えるように指示を受けていたのだと思います。与党は、今回の委員会で採決するつもりだったのでしょうが、甘く見ていたと思います」

   武田氏への不信任案は、野党の採決引き延ばし戦術だと有馬氏は見る。

「不信任案が出れば、審議をストップして、それを優先して対応することになります。野党が最後の手段として採決できなくしたわけです。来週は、森大臣や松本委員長の不信任案を出すかもしれませんね。審議を伸ばすと騒ぎは大きくなりますが、与党は結局、来週には採決して本会議で通すつもりだと思います」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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