見出しに「断交も示唆」「関係を遮断も」
一方で、習氏への言及に加え、「断交も」と強い響きの言葉を使ったのは、
「(略)中国と断交も示唆」(ブルームバーグ日本語版)
「(略)コロナ対立で『断交も』」(時事通信)
などだ。いずれも、見出し前半では、習氏と話したくないと述べた要素にも触れている。
また、「示唆」などの論評を加えず、さらにはトランプ氏の「関係を断つ~」発言を「断交」とは表現せず、そのまま使ったメディアも多かった。
「米トランプ大統領『関係断つこともできる』 中国に強く警告」(NHK)
「(略)新型コロナで中国威嚇 『関係を遮断も』」(日本経済新聞)
などだ。
トランプ氏は20年11月の大統領選に向け、新型コロナ対策に伴う経済停滞への批判をかわそうと、以前から中国への報復検討に何度も言及しており、たとえば5月4日の時事通信記事で「中国に責任転嫁する狙いもある」との論評も出るほどだった。
一連の対中国発言は「選挙向け」と受け止められることも多く、今回の報道でも「国内の支持者に向けて中国への強硬姿勢を示すねらいもある」(NHK)といった指摘を行うメディアが多かった。特段反応を示さなかった社もあり、J-CASTニュース編集部が15日16時頃に確認した範囲では、朝日新聞(ウェブ版)では、今回のインタビューを取り上げた記事は見当たらなかった。
一方、日経新聞は先に触れた見出し記事の本文で、「関係を遮断も」発言について、「米大統領が断交とも受け取れる強い表現で中国を威嚇するのは異例だ」と強調した。
米国では実際、米連邦職員らの退職金運用を行う貯蓄投資理事会が13日(現地時間)、一部中国企業への投資を無期限で延期すると発表する動きが出ている。直前には、トランプ政権が同理事会へ投資停止の圧力をかけていると、ロイター通信が報じていた。この動きだけでも、日経新聞が「米の中国株投資停止、株式市場の反応は(略)」(15日)という記事を出すほどで、仮にトランプ氏が「関係を遮断も」に本気を出し始めると、その世界経済へのマイナスの影響は計り知れない。
(なお、各社見出しは編集部確認時。記事には登場しない一部メディアは、ツイッター投稿などから、「断交の可能性」表現をのちに変更した可能性がある)