検察庁法改正案「強行採決」見送ったが... 「ゆるむ与党」で理解得られるか

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   論議となっている検察庁法改正案について、与党側は、2020年5月14日の衆院内閣委員会で「強行採決」する見込みだと報じられたが、いったん見送られた。

   しかし、あくまでも採決する姿勢を変えていない。所管外大臣が出席して「珍答弁」をするなど、与党内の気の緩みも指摘される中だが、果たして国民の理解はどれだけ得られるのだろうか。

  • 国家公務員制度担当相が「所管外」答弁(衆院インターネット審議中継から)
    国家公務員制度担当相が「所管外」答弁(衆院インターネット審議中継から)
  • 国家公務員制度担当相が「所管外」答弁(衆院インターネット審議中継から)

国家公務員制度担当相の迷走答弁に、野党から失笑が漏れて...

   新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかったともされ、政府は14日、地方を中心に39県の緊急事態宣言を解除した。そんな中で、気の緩みを警戒する声も聞かれ、各メディアも解除について特集を組んでいる。

   この日は、検察庁法改正案の委員会採決も予定されていると報じられた。解除騒ぎの中で通そうとしているとも一部で指摘され、与党が国会で過半数を占める状況で、もし「強行」すれば採決されるのは確実だった。

   検察庁法改正案は、国家公務員法改正案などとの束ね法案として、国会に提出され、与党は、検察官についても、法務委員会ではなく、公務員の定年延長として処理しようとした。

   13日の内閣委員会では、森雅子法相は出席せず、武田良太国家公務員制度担当相が検察庁法改正案への質疑でも答弁に立った。

   ところが、「本来なら法務省からお答えすべき」と本人が言うだけに、答える気があるのかと言われそうな答弁が目立った。

   半年ほど前にはなかった規定が盛り込まれたことについて、「ご指摘で時間があったことは理由にならないとおっしゃいますけども、時間があったのが一番の理由だと思います」と説明して、野党から失笑が漏れた。また、委員から「重大かつ複雑困難事件って、どんな事件ですか?」と問われ、「様々であります」と言う場面もあった。

有馬晴海氏「自公維新で改正案を可決して、強引さを薄める狙い」

   どんな基準で検察官の定年を延長するかとの質問には、「今はありません」とだけ答え、野党が反発して審議途中で退席する騒ぎにまでなった。

   この委員会では、前科学技術担当相の平井卓也氏(自民)が審議中にワニなどの動画をタブレットで5分ほど見ていたと毎日新聞が報じ、与党にも気の緩みがあるのではないかとの指摘が出ている。

   ツイッターで「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグが広まり、芸能人らも含め数百万件も投稿されているだけに、ネット上でも、こうした与党の対応ぶりに厳しい批判の声が相次いでいる。「国民を舐めすぎではありませんか」「堂々と担当大臣が出席しないから余計に疑念が強まる」「国会の応答がこんな程度というのは、国の恥だね」といったものだ。

   一方、与党は、検察庁法改正案について、週内の衆院通過を見送る方針だと5月14日になって報じられた。来週の本会議で可決し、参院への送付を目指すという。また、15日には、森法相も出席して質疑を行うことを決めたとされている。

   政治評論家の有馬晴海氏は、このことについて、J-CASTニュースの取材に次のような見方を示した。

「野党との取り引きがあったのだと思います。採決強行のイメージは避けた方がいいという判断が勝ったのでしょう。野党の提案をある程度飲んで、野党にも見せ場を作るつもりなんだと思います」

   とはいえ、改正案は、あくまでも通すのではないかと見る。

「自民党は、新型コロナの給付金10万円で公明党に花を持たせたので、改正案にも賛同すると考えているようです。維新も含めて可決することで、強引さが薄まることを狙っているのでしょう。コロナの影響で当分選挙がないでしょうから、内閣支持率がいったん下がっても、次第に国民から忘れられて支持率も戻ると考えていることもあると思います」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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