新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる問題は、根拠不明な情報が拡散する「インフォデミック」の側面も持つ。それに巻き込まれたひとりが2018年のノーベル生理学・医学賞受賞者の本庶佑(ほんじょ・たすく)・京都大特別教授だ。
新型は「中国が製造したものだ」などと本庶氏が語ったとされるフェイスブックの書き込みが拡散し、本庶氏が「当該疾患の起源に関して根も葉もない主張がまかり通ることは、極めて危険で破滅的」と否定する声明をウェブサイトに出したという経緯がある。本庶氏は2020年5月14日にオンラインで開いた記者会見でも、質問に答える形でこの問題に言及。「エネルギーをこの種のことに割きたくないが、非常に悲しいことだ」などと話した。
インドからFB、ツイッター、ワッツアップなどで拡散
問題の書き込みは4月24日に掲載され、拡散した。本庶氏が
「私は中国の武漢研究所で4年間働いたことがある」
「私のこれまでのすべての知識と研究に基づいて、私は100%の自信を持って、(新型)コロナは自然のものではないと言える。コウモリ由来のものではない。中国が製造したものだ」
などと語ったとされる内容だ。インドのファクトチェック団体「BOOM」が報じたところによると、フェイスブック以外にも、ツイッターやメッセージアプリのワッツアップ(WhatsApp)で、英語やヒンディー語をはじめとする様々な言語で拡散されたという。
これを受けて、本庶氏は4月27日に英語版、28日に日本語版のウェブサイトで、一連の情報を否定するコメントを発表。
「新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって、苦痛と経済的損失を受け、前例がないほど世界中が苦しんでいるさなかに、私と京都大学の名前が、偽の告発と誤った情報を拡散するために使用されていることに、私は非常に驚いています」
「当該疾患の起源に関して根も葉もない主張がまかり通ることは、極めて危険で破滅的なことです」
などと訴えた。