新型コロナウイルスの感染拡大対策として「密閉」「密集」「密接」を避けるべきとする「3密」が呼びかけられているが、実は古くから「三密」という言葉が存在していることをご存知だろうか。
専門家に尋ねてみると...?
2020年5月6日にあるユーザーが「三密」について画像付きでツイッターに投稿をした。仏教関係の書籍の一部を転載したこの画像では、「では、どのようにして即身成仏が実現できるのかといえば、それは身密、口密、意密の三密を実行することによる」と書かれている。このツイートは話題を呼び、約1万の「いいね」が寄せられた。
感染対策の「3密」が広く知られた一方で、このユーザーに限らず、仏教、特に密教の用語として、古くから「三密」という言葉が存在することを、複数の人がツイッターなどで言及している。
では、こちらの「三密」とはどういう意味だろうか。J-CASTニュース編集部では、ある密教学の専門家に話を聞いた。
この専門家によると、「密教でいう三密とは、身密(しんみつ)、口密(くみつ)、意密(いみつ)」を意味するという。仏教では一般に、衆生(生きとし生けるもの)の行為を身体と言葉と心の3つの働きによって捉える。これを三業(さんごう)と呼び、
「密教では、仏の三業は不可思議な秘密であることから、三密と呼びます。そして衆生の三業は本来、仏の三密にほかならないとし、修行によってそのことを確信しようとします。その究極が悟りであり、密教でいう即身成仏(この身のままで仏の境地に至ること)です」
と解説した。
専門家は「このように密教でいう三密の密は、秘密の密です」とし、当然ながら、現在呼びかけられている「3密」とは「まったく別のものです」と強調した上で、「もちろん、こうした呼びかけが功奏して、新型コロナウイルスの蔓延が一刻も早くおさまることを私たちも念願しています」とコメントした。