「抗体検査5.9%陽性」記事に「誤解の危険性」 東京新聞「批判、重く受け止める」

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   東京新聞は2020年5月12日の朝刊で、4月掲載の1面トップ記事「抗体検査5.9%陽性 市中感染の可能性」が批判を集めたとして、「今回の教訓を生かし、より慎重に今後も多くの検査情報を伝えていくよう努めます」とする声明を載せた。

   同記事では、ナビタスクリニック理事長で、医療ガバナンス研究所理事も務める久住英二氏が実施した検査結果を報じたが、「検査対象に偏りがあり、誤解を与える」との批判が寄せられたという。

  • 5月12日の朝刊3面
    5月12日の朝刊3面
  • 5月12日の朝刊3面

HPで募った希望者に検査

   批判を集めた記事は、4月30日朝刊の1面とウェブ版に掲載された。

   記事では、久住氏が理事長を務める「ナビタスクリニック」が、新型コロナウイルスの感染状況を調べるため、ホームページで募った希望者202人を対象に行った抗体検査の結果を紹介した。同クリニックでは5500円(税込)で検体検査を受け付けている。

   希望者の内訳は20~80歳の男性123人、女性79人で、一般市民147人の4.8%にあたる7人が陽性、医療従事者55人のうち9.1%の5人が陽性だった。そのため、全体では5.9%の12人が陽性だったという。

   結果を踏まえ、「現行のPCR検査で判明する感染者よりはるかに多く感染している可能性が高く、確実にまん延していると言える」「原因不明の死者が増えていることからも、PCR検査を拡大して速やかに診断し、早期に治療を開始すべきだ」との久住氏の主張を伝えた。

   特に30日朝刊では、1面トップ記事として大きく掲載された。また、紙面・ウェブ版ともに、記者による「解説」が付されている。

   この記事をめぐり、東京新聞は5月12日の朝刊3面に、杉谷剛・社会部長名義で「『誤解を与える』批判について」とのコメントを出した。

検査は「広く一般の人たちを代表しているとは言えません」

   「検査対象に偏りがあり、誤解を与える」「記事は、一般の人たちの5.9%が感染したことがあるとの誤解を与える危険性がある」との批判が寄せられたといい、杉谷氏は「検査を希望した人たちは、無作為に抽出した検査と比べてもともと偏りがあり、広く一般の人たちを代表しているとは言えません」と認め、批判は「重く受け止めます」とする。

   その上で、「海外に比べてPCR検査が少ない日本では、感染実態を把握できない状況が続いており、東京新聞では少しでも多くのデータを読者に提供することを目指しています」 「今回の教訓を生かし、より慎重に今後も多くの検査情報を伝えていくよう努めます」とした。

   なお12日12時現在、ウェブ版の当該記事にはこの見解は示されていない。

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