古市憲寿「あゆ評論家」の本領発揮 オマージュ解説に知識が光る

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   歌手の浜崎あゆみさん(41)の自伝的小説の実写化ドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系)の第1回が、2020年5月9日に再放送された。

   ドラマでは福岡県から上京してスターを目指すアユ役を歌手の安斉かれんさん(20)、アユを発掘してスターに押し上げるプロデューサー・MAXマサ役を俳優の三浦翔平さん(31)がそれぞれ務める。すでに第3話まで放送されているが、新型コロナウイルスの流行が続く中、9日は当初の予定を変更して第1話が再放送された。しかし本放送とは違い、社会学者の古市憲寿さん(35)とタレントの伊集院光さん(52)がドラマを「実況」する副音声が付けられた。

   古市さんといえば、これまでにも浜崎さんのファンであることを公言しており、ドラマの実況にはうってつけの存在。また、伊集院さんも雑誌のインタビューでサンミュージック時代の浜崎さんをゲストとして招いた経験があるとのことで、浜崎さんがエイベックス入りする前から物語が始まっている同ドラマを解説するには適任であり、9日の再放送ではこの副音声が視聴者の間で話題を呼んだ。

  • 古市憲寿さん(2016年)
    古市憲寿さん(2016年)
  • 古市憲寿さん(2016年)

「ファンっていうか、ずっと好きなんですよね」

   その中でも、この日の再放送では古市さんの、浜崎さんについての造詣の深さが光った。2019年1月28日放送の「しゃべくり007」(日本テレビ系)では、「子供の頃からずーっと聞いてて。だからファンっていうか、ずっと好きなんですよね」と、浜崎さんのファンであることを公言したほか、「浜崎さんのベスト盤に解説書いたこともあります」と自らと浜崎さんの関わりを明かすなどしたほか、原作小説発売から間もない同年8月14日にはツイッターで、「小松成美さんの『M』を読んで、とてもプライベートな曲だということを知った」「『M』で答え合せができて嬉しい」とツイートするなどしていた。

   その古市さんの浜崎さんについての知識が光ったのは、番組中盤、アユがマサから複数回にわたって電話を受けるシーンが放送された際のこと。当該シーンについて古市さんは、浜崎さんが1999年11月10日に発売した11thシングル「appears」の歌詞に、浜崎さんが複数回にわたって電話を受ける描写があることを挙げつつ、当該シーンに該当する箇所であると指摘。実際、同曲の1番には古市さんが指摘する通りの描写があり、古市さんによる当該シーンが「オマージュ」であるとの指摘は間違いないものといえよう。

   また、古市さんは番組終了後にツイッターで、「本当はもっと話したいことあったな!車のシーンでは『LOVE ~Destiny~』のPV思い出したとか」とツイート。ドラマ終盤にはアユが車の後部座席の車窓から外を眺めるシーンがあったが、当該シーンは古市さんの言葉通り、浜崎さんが1999年4月14日に発売した7thシングル「LOVE ~Destiny~」のミュージックビデオのワンシーンに酷似しており、まさしく、古市さんが「あゆ評論家」であることが示されたといえよう。

まだまだ見つかる、オマージュの数々

   また、ドラマ中では古市さんが伊集院さんとの話に熱中するあまり、オマージュに言及し忘れたと思われる箇所があった。ドラマ冒頭に登場したディスコ「velfine」の観客席で、他の客がダンスに興じる中、棒立ちでステージを眺めるアユの姿があったが、これをほうふつさせるシーンとして挙げられるのが、浜崎さんが2000年2月9日に発売した13thシングル「fly high」のミュージックビデオで、やはり、浜崎さんがステージ上を棒立ちで見つめるシーンがあることが挙げられる。

   また、作中の1994年でアユが女優としてのドラマの仕事をこなすシーンでは、アユのセリフや台本に書かれたドラマのタイトルから学園ものであることが想定されるが、これに関しては、浜崎さんが1993年に出演した「ツインズ教師」(テレビ朝日系)との相似性を感じさせるものであるほか、作中の2001年でアユが「M」(2000年12月発売)を披露するシーンの衣装は、浜崎さんが2001年に開催した4大ドームツアーで「M」を歌う際の衣装に酷似しており、これでもかとばかりにオマージュがちりばめられているのが分かるのだ。

   同ドラマは「USG」「OTF」「冴木真希」「輝楽天明」といった人物のオマージュが多数出てくることで大きな話題を集めているが、古市さんが指摘する通り、浜崎さんの作品やコンサートでの衣装といった、浜崎さんの周辺に散らばっている「ストーリー」もまた、時を超えてドラマ化されているようだ。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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