食料輸出を制限する国続出 日本への影響の有無は?

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   新型コロナウイルスの感染拡大で、世界的な食料不足への懸念が広がっている。各国が移動に制限を課しているために労働力が不足し、農産物の生産量が減少するとみられ、食料難を警戒して輸出を制限する国が続出している。慢性的な食料不足に苦しむ途上国への打撃はもちろん、食料の輸入大国である日本も影響を受けかねない。

   世界食糧計画(WFP)は、2020年に世界で食料不足に陥る人が19年から倍増し、2億6500万人に上る恐れがあると試算している。国連食糧農業機関(FAO)や世界保健機関(WHO)などは20年4月1日に共同声明を発表し、過度の輸出制限を控えるよう国際社会に呼びかけた。

  • 新型コロナ感染拡大の食料供給体制への影響とは
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EUでは農業労働者の確保に支障

   主要20カ国・地域(G20)の農相は4月21日に臨時のテレビ会議を開き、食料の国際的な貿易体制を維持していくことで一致。声明を発表し、一部の国で起きている小麦やトウモロコシなどを自国で囲い込む輸出規制の動きについて「食料価格の乱高下を招いて、食料の安全保障と人々の栄養を脅かしかねない」と指摘。世界には十分な食料供給がされており、市場のバランスは保たれているとしたうえで、「国際機関や民間企業とも連携し、途上国を含めて各国に必要な量が行き渡るよう食料確保に努める」と表明した。

   国際社会が危機感を深めるのは、まず、人の移動制限の影響だ。欧州各国は農作業の多くを外国人労働者に依存しているが、欧州連合(EU)が域外から域内への渡航を原則として禁止した影響などで、既に労働者の確保に支障が出ている。

   例えばフランスは、農業労働者の8割を北アフリカや東欧出身の外国人に頼るため、今夏までに約20万人の労働力が不足すると試算される。3月下旬に政府が緊急に働き手を募集すると表明したところ、24万人を超える人が手を挙げたというが、外出禁止で一時的に失業状態になった飲食店従業員などだといい、経済活動が正常化していけば農業に向かう人は一部にとどまりそうだ。英国でも農業労働者を東欧などからの外国人に依存しており、農場主らの団体の推計で約8万人の不足が見込まれている。イタリアでは農業で働く不法移民が60万人いるとされ、人手不足の深刻化を受け、政府はこうした人たちの滞在の合法化を検討しているほどだ。

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