コロナ後は「雇用=時間拘束」の考え方が変わる
一方、コロナ禍でつらい思いをしている非正規雇用で働く人は、正社員の道を希望する傾向が強まっている。自動車業界に精通した人材情報サービスのレソリューション(東京都千代田区)が20~40代の非正規雇用で働く男女1154人を対象に、「将来の働き方に不安があるか」聞いたところ、8割超(「非常に不安」34.1%と「不安」43.8%の合計)が「不安がある」と答えた。
さらに、「安定した仕事を得るために必要なことは何だと思いますか」(複数回答可)の問いには、「無期雇用(正社員)での就労」が61.7%と最多。「資格が活かせる仕事」が27.7%、「キャリアアップ・スキルアップに繋がる仕事」が27.4%と続いた。
非正規雇用で働く人からは、
「業績が下がったら、正社員ではない自分が首を切られる」(40代女性、神奈川県)
「いつまで仕事ができるのか、働かせてくれる所があるのか」(40代女性、愛知県)
といった不安の声が寄せられる。
失業者の増加が懸念されるなか、J-CASTニュース会社ウォッチ「社長のお悩み相談室 ~ オレの話を聞いてくれ」を執筆する企業アナリストの大関暁夫氏は、コロナが日本の働き方を大きく変える、「労働階層の近代化が進展する」と指摘する。
これまでの年功序列や終身雇用制といった日本的な働き方とともに、時間による拘束や時給制という、「『雇用=時間拘束』の考え方が変わる大きなターニングポイントになる」とみている。
コロナ後は、
「時間による拘束は工場のライン労働者や宅配便のドライバーなどで働く人のルールとして維持。その一方で、企画立案や営業などの事務系正社員は、時間による拘束ではなく、成果で給与が計られるべきという、ホワイトカラーエグゼンプション的な考え方に収れんされていくのではないかと考えます。
つまり、期待に応えられる成果をあげられる労働者だけがホワイトカラーとして生き残り、それ以外の労働者は拘束時間で契約する単純労働力に移っていくことになり、『労働の階層社会』が明確化されていくのではないでしょうか」
と、大関氏は言う。
正社員だからといって、スキルアップを怠ると生きてはいけない、厳しい時代が待ち受けているようだ。