「自治体窓口ありき」の問題点
東京都練馬区は5月7日、電子証明書を管理するJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)のシステムにアクセスが集中したため、多くの市区町村窓口で処理できなくなったとして、この日の全区民事務所での電子証明書の新規発行、更新、パスワード再登録を中止した。また東京都北区も同日、混雑で2時間以上待つ状況や、J-LISサーバーの不安定さを理由に、電子証明書の更新等は一旦カードを預かり、後日、本人限定郵便で返送すると発表した(いずれも区公式サイト発表)。
手続きが簡略化され、受給が迅速になるにしても、現在のカード普及率(15.5%、3月1日現在)では、恩恵を受ける人は限られている。自治体によっては、申請書配布を待たず、フォーマットを公式サイトからダウンロードして、自宅で印刷できるようにしているところもある。「密」を避けるためには、オンライン申請より、むしろこちらを政府として推進するのも手だったのではないか。
今後の政策を考えると、どこかでマイナンバーカードの活用例を作っておく必要があるのだろう。今回の経験が「窓口ありき」の現状を見直すきっかけとならない限り、定額給付金へのマイナンバーカード利用こそ「不要不急」だったのでは、と皮肉られかねない。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)