コロナ禍、ラブホテル従業員の本音 自粛中の「満室」に思いは...

   J-CASTニュースの情報提供フォームには2020年4月以降、さまざまな業種の「現場」で働く人から、コロナ禍の中での生々しい状況を伝える投稿が、日々寄せられている。

   その一部はシリーズ「#現場を知って」として記事化してきたが、今回紹介したいのは、ある「ラブホテル」従業員からのメッセージだ。

  • コロナ禍のラブホテルの現状は(イメージ)
    コロナ禍のラブホテルの現状は(イメージ)
  • コロナ禍のラブホテルの現状は(イメージ)

都内から「遠征」する客も?

「コロナが騒がれてからは若い年代の方が少し増えたかと思われます。スタッフからの連絡では、最近は県外のナンバーもよく見られるそうです。都内の方は自主休業をされているホテルが多いそうで、その影響でひっそりとやっている所に集まっているのかと思われます」

   そう証言するのは、神奈川県内のあるラブホテルで働く従業員だ。投稿フォームにメールがあったことをきっかけに、ゴールデンウイークさなかの5月5日、ツイッターのダイレクトメッセージを通じて話を聞いた。

   この従業員が言うように、新型コロナウイルスの流行以後、都内などのラブホテルでは、営業を自粛する動きが。たとえば、首都圏などに展開するホテルバリアングループでは、新宿エリアの3店舗で、4月6日以降臨時休業を実施している。

   ネット検索の件数推移をまとめる「Googleトレンド」のデータも、こうした状況の傍証となる。

   過去のデータを見ると、例年ゴールデンウイークやお盆、クリスマス~年末など、繁忙期に合わせて検索件数は上昇する。利用動向と、ネット上での検索行動は、かなり連動しているようだ。

   さて、2020年はと言うと、2月あたりからその数値は目立って減少傾向にある。特に3月末あたりからは、さらにその数字を減らす。さすがに、人々の足はかなり遠のいているようだ。

「忙しい」が目立つ従業員のつぶやき

   一方で、それほど変化のないところもあるようだ。上記の従業員は、

「元々コロナの前から夜は満室になる事が多かったのですが、コロナ騒動が始まってからも客足に変わりはなく、スタッフの何人かは客足が減るものと考えていましたが、そんな事はなく、相変わらず夜は満室になる事が多いです」

と説明する。

   ツイッター上に、ラブホテルで働く人たちがその愚痴などを書き込む際によく使われる「#ラブホ従業員のつぶやき」というハッシュタグがある。GW中の、このハッシュタグを使ってつぶやかれたツイートを探ってみると、閑古鳥を嘆く声ばかりでなく、忙しさを嘆く声も目立つ。

「クソ忙しいぞ...緊急事態宣言ってもう終わったん?忙しいぞ。満室だ。やっと休憩」
「むしろラブホテルは外出自粛要請が出てから昼間の休憩が倍増してる現実。都知事さん達わかってる?」
「ゴールデンウィークっていつまで?笑 満室だぜ?泣」

外国人労働者が支える実情

   営業を続けるホテルでは、消毒の徹底など、感染対策を強調するところも多い。ただ、この従業員が務めるホテルでは、それが十分でないと訴える。

「当ホテルではいつも通りの清掃。いつも通りの清掃というのは、お客様が使われた物を綺麗に整頓し、性行為に使われたベットのシーツや包布等を新しい物に入れ替える。お客様が出てから10分~15分程の換気をしながら部屋の簡易的な掃除、もはや掃除というよりも元に戻すだけの作業です。お客様がどこに触れ、何を使ったかまで把握出来ないような場所で1つ1つアルコールを使って消毒をする事などなく、見た目だけ戻すのみです」

   ビジネスホテルなどとは違い、「回転率」が高いのも不安材料だ。

   結局、この従業員は仕事を休んでいる。ほかのスタッフにも同様の動きがあるようだが、そのしわ寄せは、なかなか休みづらい外国人スタッフに。「日本人で仕事が選べるのだから、今働くべきではないですよ」と背中を押してくれたというが、そんな彼らがシフトを支える状況に、従業員は心を痛める。

「このような状況で、ラブホテルが不要不急の用事に入るのかと来店されるお客様や世間様に問いたいです。パチンコ店のように、大衆の目に晒されるような場所でないから大丈夫、などの思考を止めていただきたいと思います」

<J-CASTニュースでは、新型コロナウイルス流行に伴い、「私たちの状況を取り上げてほしい、取材してほしい」「#現場を知って」といった声を受け付けています。https://secure.j-cast.com/form/post.htmlからご連絡ください>

姉妹サイト