2020年5月6日に中国の文化・観光部(省)の微信公式アカウント「文旅之声」は、5月1日から5日までの中国の連休期間中の国内観光売り上げの統計データを公表した。観光に出かけた人数は1.15億人、国内観光売上高は475.6億元だった。
文化・観光部のデータでは、同じ5月連休の国内観光売り上げは、2017年が791億元、18年は871.6億元、19年には1176.7億元に達していたが、2020年はコロナショックで売り上げが前年の半分以下に減少している。
観光を始めとするサービス業は特にコロナショックの影響を受け、この結果、中国は今、非常に厳しい雇用問題に直面している。
6.2%の失業率解消に2000万人の雇用必要
中国ではほぼ毎月中旬に国民経済の現状を紹介する記者発表をする。失業率を見てみると、1月が5.2%、2月は6.2%、そして3月は5.9%と推移していた。近年で失業率が最も高かったのは5.3%(2019年7月)で、5.9%と6.2%は異常に高い数字といえよう。
とくに毎年7月に大学生が卒業を迎え、2020年は大学を卒業する学生だけでも847万人(人力資源・社会保障部の数字)に上る。その前に現在の失業問題を解決しないと、下半期の雇用情勢は非常に厳しくなる。
ヨーロッパやアメリカなどの失業率を知っている人なら、5.9%はたいした数字ではないと思うかもしれないが、中国の場合はそうではない。
2019年の中国統計年鑑によると、2018年の失業率は3.8%で失業者数が974万人だった。2020年全体が6.2%に増加すれば、1000万人以上の人が失業することを意味する。さらに7月から労働市場に入ってくる新卒の大学生、高校生などを入れると、新たに2000万人以上の雇用を創出することが必要となる。