「費用削減効果」指摘も
一方、2020年3月期決算は、売上高にあたる営業収益は前期比3.9%減の4兆6512億円、営業利益は15.7%減の8546億円、純利益は10.9%減の5915億円だった。19年6月に始めた「ギガライト」など通信サービスの割安新料金プランが利益を圧迫。端末機器の販売減少も響いた。ドコモの契約者はソフトバンクやKDDIと比べてデータ通信のヘビーユーザーが少なく、新プラン導入が利益を押し下げやすいとされている。「開示」通りにコロナによる巣ごもりによってデータ通信量が伸び悩めば収益への影響は避けられない。
ただ、野村証券が4月30日配信のリポートで「コロナの影響はあるものの費用削減効果などにより業績回復が続く」との見方を示したように、悲観論が大勢を占めているわけではない。ホテルや居酒屋と違って通信の需要が「蒸発」するわけではないということもあるようだ。この決算発表後初の取引となる4月30日の東京株式市場でドコモの株価が一時前営業日終値比4.7%(155円)安の3140円まで下げたが、期待されていた増配や自社株買いの発表がなかったことへの失望売りだったようだ。「コロナの影響開示」はその反応を見越して投資家をつなぎとめる一策だったのかもしれない。