「他の商品の製造をストップさせ、マスク製造に切り替えるケースも」
大阪で中国輸入を手がけるB社の男性幹部も8日、取材に応じたが、前出の東京の男性と一致する見方が多かった。中国のマスク生産状況について、「マスクメーカーが非常に増えています」と話す。
「これまで違う不織布製品をつくっていた中国工場が、他の商品の製造をストップさせ、マスク製造に切り替えるケースもあります。今一番売れるからです。それで日本への輸入ルートが増えていると思います」
自治体や小売などの卸先にマスクの営業をすると、「いろんな企業からマスク声がかかっている。値段と納期を比較して決める」と言われるという。男性は、日本でも相当数の輸入業者がマスクを扱っているとみている。
「先に需要を見込んで、在庫を抱えるリスクをとってでも輸入する企業が多くなっているというのが実感です。個人商店などでマスクを販売しているところは、そうした卸業者から仕入れているのではないかと思っています」
B社は客からの受注を受け、中国工場にその分を発注して輸入するため、先に大量の在庫を抱えることはないという。それだけに「ネットを見ると1枚30円といった価格を見ますが、あまりにも安いですよ」と驚愕する。
「よほどまとまった数を一度に中国から仕入れないと付けられない価格です。あるいは、2~3月ごろのマスク特需の時に仕入れたものが売れなくなっていき、『損切り』のような形で叩き売りしはじめたのではないかとも考えられます。もうひとつ可能性があるとすれば、中国でマスクメーカーが増えたので、薄利で多くの工場から注文を取りつけ、利益を積み上げる業者の存在です」