早稲田大学は2020年5月7日、現在実施している教職員の在宅研究・在宅勤務およびキャンパス立入禁止措置を延長すると発表した。
オンライン授業への準備を進めるも学生からは授業料減額を求める声
4月14日の発表で、5月11日以降の授業は全面的にオンラインで行う必要があるとの考えを示し、オンライン授業の準備が進めている。しかし、教職員の在宅研究・在宅勤務およびキャンパス立入禁止措置を5月20日から31日まで延長し、これに伴い図書館も、4月8日から5月31日まで臨時休館を行っている。教職員には、在宅で準備を行うようにも呼び掛けている。
しかし、通常とは異なりオンラインで授業が行われることや、図書館などすべての施設が利用できないことなどからか、学生の一部からは学費(授業料ならびに実験実習料等)の減額を求める声もあがっている。 これに対して、早稲田大学は5月5日、公式サイト上で「早稲田大学の学費に関する考え方について」という田中愛治総長の声明を発表し、学費および実験実習料の減額を行わないと明言した。この発表では、学費の内訳には図書館含む多数の施設の維持費や学習支援システムの設備投資も含まれることや、困窮した児童には奨学金などの対応を行うことも述べている。
総額5億円の緊急支援も
田中総長は、オンライン授業ができるように数年前から多額の費用を投入したと述べる。その例として、4月に刷新された学習支援システムや、膨大な電子ジャーナルの専門学術雑誌の論文を挙げている。大学図書館の契約する学術電子書籍配信サービスの中には、サブスクリプションパッケージを展開するものもあり、自宅でもある程度の文献に触れることはできる。
さらに同日5月5日公式サイト上で発表した「新型コロナウイルス感染症拡大に関する総額5億円の学生緊急支援について」では、コロナの影響で家計が苦しくなった学生、学生自身のアルバイトの収入が減り経済的に困窮している学生が増えているとして、緊急支援金、PC、WiFi機器貸し出し等のオンライン授業受講支援などに総額約5億円を充てるとしている。
これらを受けて、インターネット上では賛否の声が上がっている。
早稲田大学スポーツ科学学術院の中澤篤史准教授は、
「ほー、ええこと言うてるやんか、どこの大学や?うちの大学や!
学生・ゼミ生への教育サービスの提供に、全力を尽くします」
とツイート。
早稲田大学文学学術院教務主任の橋本一径教授はツイッター上で、
「電子ジャーナルに『莫大な費用』がかかるのはわかりますが、それにより『現在でも教員は自宅でオンライン授業の準備ができ』るとは言い過ぎではないでしょうか」
と述べ、非常勤講師はアクセスができないと苦言を呈した。