28歳で引退→慈善活動資金のため38歳で現役復帰
過去、ヘビー級において「奇跡の復活」を遂げたボクサーがいる。元世界ヘビー級王者ジョージ・フォアマン(71)=米国=だ。フォアマンは1968年メキシコシティ五輪で金メダルを獲得し、73年にWBA、WBC世界ヘビー級王座を獲得。この王座の3度目の防衛戦でモハメド・アリ(米国)に逆転KOで敗れ王座から陥落。この一戦は「キンシャサの奇跡」としてボクシング界で語り継がれている。
フォアマンはこの敗戦後、1年以上のブランクを経て復帰。5連勝後の復帰6戦目で判定負けを喫した。この試合はフォアマンが序盤からリードしていたが、中盤から失速して最終回にダウンを喫して判定で負けた。復帰して世界再挑戦の道が残されていたものの、フォアマンはこの試合後にグローブを置きキリスト教の牧師に転身。28歳の若さだった。
ボクシングを引退してから布教活動の傍ら青少年の更生施設を設立し、慈善活動に努めていた。だが、ボクサー時代のファイトマネーでは施設の維持が難しく、自身の会計士の横領なども重なり資金が底をつき、1987年3月に現役復帰を果たす。当時、38歳のフォアマンに世界中のボクシング関係者から健康面での危険を指摘する声が多く上がり、「金儲けのための復帰」などと批判の声も見られた。