8日→8月、緊急事態条項が緊急事態宣言 安倍首相、会見で目立った「読み違え」

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   政府は2020年5月4日、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言の対象を全都道府県としたまま、5月6日までとしていた期間を5月31日まで延長することを決めた。

   安倍晋三首相は5月4日夕に開いた記者会見で、「当初予定していた、1か月で緊急事態宣言を終えることができなかったことについては国民の皆さんにお詫び申し上げたい」などと陳謝。1時間以上に及んだ記者会見では、安倍氏は中小企業などに支給される「持続化給付金」の支給時期を「8日」を「8月」、創設を訴える憲法上の「緊急事態条項」を「緊急事態宣言」と言い間違える場面もあった。

  • 記者会見で緊急事態宣言の延長について説明する安倍晋三首相
    記者会見で緊急事態宣言の延長について説明する安倍晋三首相
  • 記者会見で緊急事態宣言の延長について説明する安倍晋三首相

「早く訂正した方がいい」「言い間違え、聞き間違えでしょうか...?」

   政府は4月7日、東京都など7都府県を対象に、5月6日を期限に緊急事態宣言を発令。4月16日には対象を全国に拡大していた。安倍氏は今回の会見で、延長を決めた理由を「現時点では感染者の減少が十分なレベルではない」などと説明。一部地域では5月31日を待たずに解除される可能性に言及する一方で、事態が長期化することを前提に、「命を守るためにこそ、私たちはコロナの時代の新たな日常を、1日も早く作り上げなければならない」などと話した。注目された経済対策については、

「飲食店や様々な小規模事業者の皆さんも含めて賃料負担の軽減や、アルバイト学生への支援についても、与党における検討を踏まえて速やかに追加的な対策を講じていく」

などと言及。ただ、それよりも視聴者の注目を集めたのが持続化給付金の給付時期だ。発言は

「明日の支払いにも大変なご苦労をしておられる皆さんに、1日も早く、使い道が全く自由な現金をお届けしなければならないと考えている。5月1日から最大200万円の持続化給付金の受付を始めましたが、最も早い方で8月から入金を開始します」

という内容で、受付から入金まで3か月もかかることになってしまう。SNS上ではどよめきが走ったほか、野党からも

「総理、給付金の支払い時期について8日を8月と言い間違えた。早く訂正した方がいい」(国民民主党・玉木雄一郎代表)
「言い間違え、聞き間違えでしょうか...?」「プロンプターの『8日』を『8月』と言い間違えた説が濃厚です。びっくりしました」(立憲民主党)

といった困惑気味なツイートが相次いだ。

   発言が訂正されたのはおよそ18分後。幹事社による最初の質問に答える中で、

「先ほどあのー、冒頭発言において、私が持続化給付金について、最速で5月の8日に入金すると申し上げるところを、8月という風に申し上げましたが、5月の8日が最速の入金でございますので、訂正させていただきたいと思います」

と述べた。

持論の「緊急事態条項」も

   憲法についても言い間違える場面があった。安倍氏は5月3日にジャーナリストの櫻井よしこ氏らが開いた早期の改憲を求める集会にビデオメッセージを寄せ、緊急事態条項の創設について

「まずは国会の憲法審査会の場で、じっくりと議論を進めていくべき」

などと訴えていた。緊急事態条項は、自民党が野党時代の12年に制定した改憲草案に盛り込まれており、緊急事態を宣言した際は、国会の事後承認を前提に、内閣が法律と同じ効力を持つ政令を決められたり、首相が必要な財政支出ができるようになったりすることをうたっている。

   このビデオメッセージを念頭に置いた

「コロナの感染収束が見通せない中で、この状況下で改憲議論を持ち上げるのはどうなのか、という意見もある」

という質問に対して、安倍氏は

「すでに自民党は4項目のイメージ(編注:自民党の憲法改正推進本部が17年12月、『何らかの緊急事態に関する条項を憲法上設けること』を含む改憲4項目について『論点とりまとめ』を公表している)について提案させていただき、その中で緊急事態『宣言』がある。今の事態だから申し上げているのではなく、ずっと申し上げているということだ」

と答弁した。緊急事態宣言の根拠になっているのは、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)だ。こちらは会見中、訂正などが入ることはなかった。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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