新型コロナウイルスの影響で学校給食や外食産業で牛乳や乳製品の消費が減っていることから、農林水産省が「牛乳やヨーグルトを普段より、もう1本多く飲もう」と呼び掛ける「プラスワンプロジェクト」を専用サイトなどで展開している。
農水省によると、乳牛は春先が出産のピークで、出産後の約1~2カ月の乳量が最も多いという。ところが、今年はこの乳量ピーク時が、3月以降の学校給食の休止や2020年4月7日の政府の緊急事態宣言に伴う外食産業への休業要請と重なってしまっている。このままでは需給のアンバランスは避けられない。
普段よりもう1杯飲めば...
このため農水省は「6月までの生乳生産のピークを乗り切ることができれば、生乳の廃棄といった食品ロスや乳牛を減らすことなく、この難局を乗り切ることができると考えています」と説明している。
具体的には「お買い物の際に牛乳やヨーグルトを普段より1本、特に育ち盛りの方には、さらにもう1パック多く購入いただければ、酪農家への応援につながります」と呼び掛けている。
学校給食で消費する牛乳は、年間の牛乳消費量の約1割を占める。農水省の試算では、「全国の18歳未満の子供が毎週1回、いつもよりコップ1杯(約200cc)の牛乳を飲めば、学校給食に使う牛乳の約4割をカバーすることができる」という。つまり牛乳を毎週コップ2杯か3杯多く飲めば、学校給食分は補えるというわけだ。
新型コロナウイルスの影響で学校給食から牛乳が消え、酪農家が疲弊する問題については、J-CASTニュースが以前から報じているとおり。3月2日の「一斉休校で『牛乳余り』大丈夫? 酪農家の現状は...関係団体に聞く」では、ある酪農団体の関係者が、このままでは給食に出す牛乳が余ってしまい、酪農家が廃業に追い込まれかねないとして、牛乳や乳製品の購入をツイッターで呼びかけ、シンガーソングライターの尾崎亜美さん(62)や将棋棋士の加藤一二三さん(80)といった著名人も反応したことを紹介した。
こうした呼びかけが功を奏する形で、牛乳余りの事態は想定よりは緩和されていると当時、取材に業界関係者は話していたが、牛乳や乳製品の消費減退は学校給食だけでなく、外食産業や百貨店などに休業要請が出た4月7日以降、さらに加速している。