融資への政府保証、空港の着陸料や航空機燃料税の減免...
日本では融資などの支援は動き始めた。政府は大企業や中堅企業の財務基盤を強化するため、日本政策投資銀行(DBJ)に1000億円規模を拠出し、民間融資を含め、数千億円規模の投融資をするというもので、航空業界も主要な対象とされている。ただ、直接公的資金を投じるような支援の検討はまだ水面下だ。
そのなかで、動きが目立つのがANAHDだ。月間1000億円のキャッシュが流出しているといわれ、現在、3万5000人を一時帰休の対象にしているが、5月末までに4万2000人に拡大するなど危機感を募らせている。資金的には、手元の3000億円のキャッシュなどに加え、決められた額の範囲でいつでも融資を引き出せるコミットメントラインも1500億円確保しているが、これ以外に3500億円の融資枠を新たに設定することで銀行団と合意。日本政策投資銀行からも3500億円を調達する協議を進めており、民間金融機関からの融資と合わせて計9500億円を確保するという。
融資の一部に「政府保証」を求めているとされ、論議を呼んでいる。民間への政府の関与は、金融危機時の銀行への公的資金注入やJAL破綻の際の支援、福島第1原発事故に伴う東京電力支援などはあるものの、民間企業に政府保証を付けるのは極めて異例。「簡単には認められないだろう」(大手紙経済部デスク)との見方が強いが、スカイマーク以下の中小航空会社も、コロナ感染の状況をにらみながら、ANAHDの動向を見守っている。
ANAHDと並ぶJALは、2010年に経営破綻し、会社更生法適用による7400億円の債務カットと3000億円の公的資金の注入などを受け、財務の健全性はANAより高い。手元資金3200億円、コミットメントライン500億円確保しているが、毎月600億円程度のキャッシュ流出があり、事態の長期化に備え、メガバンクなどに3000億円規模の融資などを要請していると報じられている。4月30日の決算発表会見で、すでに約1000億円の調達を実施したと説明し、「不安はない」と強調、ANAよりは余裕の表情だ。
今後、融資への政府保証に加え、空港の着陸料や航空機燃料税の減免など、公的支援が議論になりそうだ。