海外で赤字転落、経営破綻...
業界では5月までの国内航空会社の減収額は5000億円、今後1年続けば2兆円に達するとみられており、各社の経営は危機的な状況だ。JALは2020年1~3月期の連結最終損益が229億円の赤字(前年同期は442憶円の黒字)に陥り、12年に再上場してから四半期での初の赤字。20年3月期の連結最終利益が534億円と従来予想を400億円下回り、前期の約3分の1に。ANAを傘下に置くANAホールディングス(HD)も20年3月期の連結最終利益は前期比75%減の276億円の大幅減益になった。両社とも21年3月期の見通しは「合理的な数値の算出が困難」などとして、開示を見合わせた。
海外でも、米デルタ航空が2020年1~3月期決算で最終損益が5億3400万ドル(575億円)の赤字(前年同期は7億3000億ドルの黒字)など、軒並み赤字に転落。そんな中で、世界に駆け巡ったのがオーストラリア第2の航空会社ヴァージン・オーストラリアの経営が破綻のニュースだ。4月21日、任意管理手続き(日本の民事再生法に相当)に入ったと発表。豪メディアによると負債額は19年末時点で約50億豪ドル(約3400億円)に上るという。
ヴァージン・オーストラリアはやや特殊で、「オーストラリア」とはいえ、株式の9割はシンガポール、アラブ首長国連邦、中国の航空会社など外資が持つことから、豪政府が支援を渋ったとされる。米国では4月20日に財務省とアメリカン、デルタ、ユナイテッドなど大手6社との間で政府支援に関する協議が合意に達し、支援第1弾として大手2社を含む56社に計29億ドル(約3100億円)が支払われた。支援総額は250億ドル(約2.7兆円)に上る。
支援は、9月まで雇用を維持するのを条件に補助金や融資をする。「政府への適切な補償」が指針に盛り込まれ、支援の代わりに大手各社は新株予約権(ワラント)を政府に付与する仕組み。「税金を使った救済」との批判を薄める狙いで、例えばアメリカンの場合、最大で発行済み株数の12%相当のワラントを政府が持つ可能性があるという。
欧州では、独ルフトハンザが破綻処理による再建(日本の民事再生相当など)も排除せず、政府と支援交渉を詰めていると報じられ、フランス政府はエールフランスについて「支える」と言明。また、英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は最大1万2000人の人員削減検討を表明している。