コロナ対策に日銀も動いた 「国債買い入れ枠」撤廃で未知の領域へ

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「いわゆる財政ファイナンスではない」

   甚大な影響が見込まれる経済危機を前にして、財政規律は取りあえず棚上げの流れが出来上がっているわけだ。大量に国債を発行しても金利が抑えられていれば利払いの負担は減るが、元本返済は将来の世代の負担となる。ただ、これだけ日銀による国債買い入れが膨らむと、中央銀行が財政赤字を肩代わりする「財政ファイナンス」に事実上なってしまう危険性もはらむ。財政の拡大に歯止めが効かなくなり、いつかは破綻してしまうという懸念だ。

   こうした懸念について黒田総裁は会合後の記者会見で、金融政策上の目的のために実施する措置であり、「いわゆる財政ファイナンスではない」と反論した。アベノミクスで大量の国債を買い入れてきた日銀は、これまでも保有する国債残高の削減に向けた「出口戦略」の難しさが指摘されてきたが、今回の買い入れ枠の撤廃によって困難さは別次元に高まる。日銀の金融政策は未知の領域に入ろうとしている。

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