2020年度の補正予算が20年4月30日に可決・成立し、焦点は第2次補正予算の動向に移った。1次補正では国民1人あたり一律10万円の現金給付や企業向けの持続化給付金などを盛り込まれたが、緊急事態宣言の延長が確実となった今、それだけでは不十分だとの見方が出ているためだ。
早くも与野党からは100兆円の財政支出をうたう提言が相次いで出されている。特に自民党からの提言は、与党内で理解を得られるかが注目される。
100年で償還するコロナ債で100兆円を調達
補正予算成立を受けた新型コロナへの経済対策の事業規模は117兆円にのぼるが、「真水」と呼ばれる財政支出の規模は48兆円だ。これだけでは不十分だとして出ているのが2次補正での「真水100兆円」の議論だ。
国民民主党の玉木雄一郎代表は20年4月23日にツイッターで「財源は無問題。100年で償還するコロナ債(100年債)を発行して100兆円を調達し100日以内でコロナを収束させると今すぐ宣言すべきだ」
と主張。この日ツイッターで公開した動画で、
「十分な生活保障、休業補償を100兆円のお金でやって、『3か月で必ず終わらせます』と、国民に堂々と訴えて、協力を求めることが必要」
などと話した。4月29日の衆院予算委員会でも玉木氏は同様の主張を展開。安倍晋三首相は
「思い切った対応によって国民の皆様に安心感を与えつつ、様々な要請に協力をしていただくという、基本的な考え方は同じだと思う。ただ、具体的な政策については我々、今直ちに、お示しをいただいたものについて、評価するものを持ち合わせてはいない」
などと応じた。
「資金の投入を躊躇することなく、圧倒的に大きな金額を投入」
「100兆円」という数字は、自民党からも提唱されている。当面の間は「消費税ゼロ」にすることを訴えている、自民党の若手議員らによる議員連盟「日本の未来を考える勉強会」会長の安藤裕衆院議員は4月27日付の月刊誌「ファクタ」ウェブサイトへの寄稿で、
「年間GDPの20%喪失を想定して『真水で100兆円』の特別枠を設け、その全額を補償に充てる方針をいち早く打ち出すべき」
と主張した。議員連盟としても国債を原資にした「真水100兆円」提言をまとめ、4月30日に岸田文雄政調会長に提出。安藤氏は5月1日午前に開いた記者会見で、
「特に日本経済が弱っていると、まさに米中のはざまに挟まれて、日本の将来は大変に厳しい状態に追い込まれる。なんとしても、ここで日本の中小企業を守って、そしてそれが国民生活、雇用を守るということにつながる。ここで資金の投入を躊躇することなく、圧倒的に大きな金額を投入して、日本経済の規模を守っていく。これが何よりも必要」
と訴えた。議員連盟のメンバーは29人で、これから党内で賛同者を募る。
玉木氏は5月1日午後の記者会見で、こういった自民党の動きについて
「是非、自民党の中の100兆円規模でやろうという方々には、党内で頑張っていただきたいし、党の政策に、是非していただきたい。もしできないんだったら、『集団離党してでも、我々と連携してやりませんか』と呼びかけたい。それぐらいの政治的な判断と覚悟を持って決断していただきたい。いくらでも連携します」
などと歓迎姿勢を示した。
ただ、菅義偉官房長官は5月1日の記者会見で、2次補正を編成する必要性について問われ、
「昨日、(1次補正)予算が成立したばかりだ。その成立したものについて、しっかり取り組んでいく、そこが大事」
などと述べるにとどめている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)