2020年4月30日放送の情報番組「ひるおび!」(TBS系)で、タレント・ふかわりょうさんが、新型コロナウイルスに関する報道の人々にもたらす影響について言及する一幕があった。
報道それ自体が「人々の余裕を奪っている一因」になっていないか?
発端は、「ウイルスより恐ろしいもの」は人と人を分断し得る「恐怖」であるという話題。看護師への心無い発言など、「医療従事者への差別や偏見」という問題が取り上げられ、出演している専門家や司会の恵俊彰さんらの間で、今の状況には「思いやりが必要」だという話になった。
八代英輝弁護士は、医療従事者に対し差別的な発言をした人について「その人たちも不安であったり恐怖を感じてるのかなとは思いますけども、一番口にしてはいけない人に対してそういうことを言うのは本当にやめていただきたい」とコメントした。
その後、恵さんは、「ひるおび!」でも出演者同士の距離の確保や、テレワーク出演などを行っているのは、感染させられることを恐れているからではなく、他人に感染させないためなのだとし、そういった思いやりについて「ふかわ君、だからそこなんだよね。そこを考えればいいんだけど」と遠隔出演のふかわさんに話を振った。
ふかわさんは、
「そうですね。やはり思いやる気持ちっていうのは余裕がないと中々生まれないこともあると思うんですね。なので自覚なく暴言を吐いてしまうケースっていうのはあるとは思うんですけど」
と同意した一方で、
「私がすごく...こういう形で出演しながら、葛藤のようなものがあるのは、人々の余裕を奪っている一因に、やはりその『朝から晩までスマホやテレビを点ければこの、コロナのことを扱っている』。ちゃんと一つ一つをそしゃくできれば正しく恐れることもできると思うんですが、朝から晩までという。漠然とした不安として受け止める方も少なくないと思うんですね」
など、連日の新型コロナウイルスに関する報道が視聴者の余裕を奪い、不安を与える可能性を指摘した。そして、
「なので、今連日お伝えすることも大事だと思うんですが、例えばこの『ひるおび!』がこのコロナを扱わなくなる時が来るとしたら、それはどういう状況なのかというのをちょっと伺いたいなあと思う」
と、どのような時に番組では新型コロナウイルスを扱わなくなるのか恵さんに疑問を投げかけた。
恵さんは、出演者やスタッフが「とにかく皆さんに正しい情報を伝えよう」と思っていることを強調し、感染拡大の影響やその報道について「世の中の出来事の中で一番大事なことだと思っているんですよ」と、新型コロナウイルスに対する番組の姿勢について回答したが、ふかわさんは「私もそれを否定するつもりは全くなくて」と前置き、再度、新型コロナウイルスについて「扱わなくていいという、基準というのはどこにあるのか」と聞き直した。
ふかわさんの疑問と恵さんのスタンスは平行線?
「基準」についての再質問に対し、恵さんは「緊急事態宣言がまず解除される」ことを挙げ、さらに人と人が距離を取らずに隣同士で話せるようになった時や、ふかわさんがテレワーク出演ではなくスタジオに直接来られるようになった時ではないかと回答した。「例えばそういうようなことが一つの目安なんでしょうか」と続いて尋ねるふかわさんに、恵さんは
「そのぐらいの出来事だと僕は思ってます。自分の人生で無かったことが起き始めてます」
とし、ボランティアなどで動き立ち上がることができた2011年の東日本大震災とは違い、「今集まることもできないのよ」と現状の過酷さを強調。そして、
「ごめんね、毎日毎日。ふかわ君にしてみりゃ辛いかもしんないけどさ、24時間。でも我々としては我々なりにやれることをやりたいのよ」
と改めて番組としてのスタンスを説明した。
ふかわさんは続いて、
「決してそれを否定する気持ちは全く無いのですが、それを漠然とした不安として受け止めてしまう可能性もあるなあということと。どこかで線を引かなくちゃいけない時が来るのかなあという。そこの疑問を先生に伺いたいところもありまして」
と再度問いかけ、恵さんが「そうですね。じゃあこの後いつこの解除が...」と緊急事態宣言の解除時期について話を移行したところでCMとなり、2人のやりとりはやや平行線のまま終了となった。