9月入学、現職校長の識者に聞く「現実的」な導入論 教員たちが今「つらい」のは...

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   新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、学校の入学や始業を9月に移行すべきだとの声が勢いを増してきた。これまでも、国外の学校と歩調を合わせるために9月入学を導入すべきだとの声は根強かったが、実際には一部の大学で9月入学のコースが設けられるにとどまっていた。

   9月入学導入論の高まりの背景には、休校で学習の機会が減ったり、オンライン学習への移行の度合いのばらつきで学力に格差が出たりすることへの懸念がある。政府からも前向きな発言が相次ぐが、どういったメリットやデメリットがあるのか。専門家の話も交えながら整理した。

  • 新型コロナウイルスの感染拡大で多くの学校で休校が続いている(写真はイメージ)
    新型コロナウイルスの感染拡大で多くの学校で休校が続いている(写真はイメージ)
  • 新型コロナウイルスの感染拡大で多くの学校で休校が続いている(写真はイメージ)

文科省では「一つの選択肢」としてシミュレーション

   9月入学をめぐっては2020年4月下旬、大阪市内の高校3年生2人が署名サイト「Change.org(チェンジドットオーグ)」で、「日本全ての学校の入学時期を4月から9月へ!」と題した署名を立ち上げている。(1)全国一律で8月末まで休校にすることで9月から平等な教育を受けられる可能性が高い(2)入試等もそれに準ずることで混乱を抑えることができる(3)海外の学校と足並みを揃えることによる留学の推進(4)かけがえのない青春を取り返すことができる、などと訴えて4月30日18時時点で約2万筆の賛同が集まった。

   政府からも前向きな発言が相次ぐ。萩生田光一文部科学相は4月28日の記者会見で、9月入学を「一つの選択肢」としてシミュレーションしていることを明らかにしたのに続いて、4月29日の衆院予算委員会では、国民民主党の玉木雄一郎代表の提案に答える形で、安倍晋三首相も「前広に様々な選択肢を検討していきたい」と応じた。この日行われた全国知事会のオンライン会議でも賛成論が出たが、会議を欠席した愛媛県の中村時広知事は、

「議論を今後進めることに異論はないが、性急な導入には反対」

とする意見書を提出するなど、慎重論もある。

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