テレビ朝日社員でコメンテーターの玉川徹氏が2020年4月29日、レギュラー出演する「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で、前日の放送中に述べた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する東京都のPCR検査と感染者数について、「週末は行政の検査機関が休んでいた」とのコメントが誤りだったとして訂正・謝罪した。誤った原因について、テレ朝の記者がつくった都庁の取材メモの「解釈を間違ってしまいました」と説明している。
行政による検査について、J-CASTニュースが厚生労働省に改めて確認すると、「土日祝日も実施しています」と答えた。このゴールデンウィーク(GW)も、感染拡大を抑えるために非常に重要な時期だとして「検査体制、医療体制は、GW中も対応していただくようお願いしています」としている。
「土日に関しても行政の検査機関は休んでいなかった」
東京都が4月27日に発表した都の新型コロナウイルス新規感染者数は39人。100人を割ったのは26日(72人)から2日連続で、50人を割ったのは3月30日(13人)以来だった。なお4月28日の新規感染者数は112人で、再び100人を超えた。
29日の「モーニングショー」は、羽鳥慎一アナウンサーが番組冒頭で「まず、昨日の放送での感染者数について解釈が違っていました」と述べると、別室で出演する玉川氏にカメラが切り替わった。玉川氏は「昨日(28日)の放送の中で『月曜日(27日)の都内の感染者数39名すべてが民間の検査機関によるものだ』と私はお伝えしました。さらに『土日に関して行政の検査機関は休んでいた』と私はお伝えしました」と前日のコメントを振り返ったうえで、
「しかし、正しくは39名の中に行政機関の検査によるものが多数含まれていたことが分かりました。そして、土日に関しても行政の検査機関は休んでいなかったことも分かりました」
と誤りがあったことを伝えた。
玉川氏は続けて「なぜこのような間違いが起きてしまったのか」と、その原因について説明した。
「私たちテレビ朝日の記者が都庁でのレクチャーを取材し、メモを作成しています。そのメモを番組内で解釈するときに、解釈を間違ってしまいました。間違った解釈で、そのまま私がコメントしてしまったということで、このような間違いが起きてしまいました。
コメントのすべての責任は私にあります。私がコメントの内容をすべて考え、話しているわけですが、その中身は、私が再度確認して正確性を保たねばならない立場であるにもかかわらず、その責務を果たさずこのようなことになってしまいました」
そのうえで、「このことにより土日も働いていらっしゃる都庁関係者の皆様、保健所の皆様、そして検査機関の皆様、検体を採取する医療関係者の皆様、すべてに多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。本当にすいませんでした」と謝罪し、頭を下げた。
「間違った取材を、間違ったコメントをしてしまったこと、慚愧の念に堪えません」
玉川氏は自身の報道姿勢を、「私は1月末以来、この新型コロナウイルス感染症についてお伝えするに際し、もし私自身が感染したら、私の家族や大切な人が感染したら、そして日本に住むすべての人が感染した時に、どうすればその命が救えるのか、その苦痛を少しでも少なくすることができるかを考え、取材し、コメントしてきました」と説明。今回の件について、
「その命に直結する検査というものに関して、間違った取材を、間違ったコメントをしてしまったこと、慚愧(ざんき)の念に堪えません」
と反省の弁を述べた。
最後に「改めて関係者の皆様、そして番組を信頼してみていただいている視聴者の皆様に対し、お詫び申し上げます。本当にすいませんでした」と再度頭を下げた。スタジオに切り替わると、羽鳥アナも「行政の機関の方々、土日も頑張ってくれています。そういった方々の気持ちに反する放送になったと思います。大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。
前日28日の同番組で、玉川氏は「スタッフが確認していますが、(27日の東京都の感染者)39人という数は全部民間の検査の件数です」とし、「土日は行政検査が休みになってしまう」と話した。そのうえで「ゴールデンウィーク(GW)に入って、行政検査の休みが続くと、民間検査だけになるので、この(少ない)数字が続いていく可能性がある。それで本当に大丈夫なのか。『下がったままですよね、(緊急事態宣言)解除です』となったら大変だなと思う」と述べていた。
厚労省「土日祝日も対応しています」
厚生労働省結核感染症課の担当者は29日、J-CASTニュースの取材に行政でのPCR検査は「土日祝日も対応しています」と話した。
都では月曜日に発表される感染者数が少なくなる傾向にあり、前日の土曜・日曜の体制が関係しているのではないかという指摘があるが、
「結果としてその数字になっても、要因としては検査希望の問い合わせが減っている可能性もあります。土日はお休みになる診療所も多く、そうしたところからの紹介がなくなることになります。検査場に検体を持ち込むまでの流れが、土日はどのように組んでいるか、ということも関わります。いくつか要因は考えられますが、具体的な事情は地域によって異なります。少なくとも行政での検査自体は実施しています」
との見解を示した。
検査体制については、各地の医師会を通じて「地域外来・検査センター」を設置し、拡大を進めている。緊急事態宣言の終期はGW最終日の5月6日。行政検査はGW中も「実施する」とし、
「緊急事態宣言後も感染爆発が起きていない中、今後の感染拡大を抑えるにはGWが非常に重要だと考えています。検査体制、医療体制は、GW中も対応していただくようお願いしています」
と厚労省担当者は話している。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)