世界各地でフィジカルスポーツのリーグ戦開催が危ぶまれる中、eスポーツの世界にフィジカルスポーツの選手たちが姿を見せる事例が増えている。
岡崎慎司選手は『FIFA20』の大会に出場
2020年4月21日から24日にかけてJFA主催で開催された『FIFA20』を使用したeスポーツの国際親善大会「StayAndPlay eFriendlies」には、サッカー日本代表の岡崎慎司選手(SDウエスカ/ESP)が鹿島アントラーズ所属のeスポーツプレイヤー、ナスリ選手とコンビを組んで出場。最初の試合となるマレーシア戦では第1戦をナスリ選手が2-0で勝利し勢いに乗ると、続く第2戦では岡崎選手がゲーム内の岡崎選手を操りヘディングシュートを決めるなどして4-3で勝利し2戦合計で6-3として日本代表が勝利した。
しかし続く第2試合のチャイニーズ・タイペイ戦では第1戦でナスリが2-1で勝利するものの、岡崎選手は0-3で敗北。第三試合のシンガポール戦はナスリ選手が0-0、岡崎選手が0-4で敗れチームも岡崎選手も通算1勝2敗に終わった。
ただ驚くべきことは、この試合をサッカーメディアが試合経過まで含めて詳細に報道したことにある。これはコロナ禍の中、国内国外共にリーグ戦が開催できない状況にありニュースにできる材料が無い状況下で岡崎選手が出場したという要素が大きいという点はあるだろうが、eスポーツがニュースソースとしての価値があることを示した大きな実例になるだろう。
また、同じく開催が危ぶまれているテニスツアーでも大きな動きがある。男子テニスと女子テニスの共催大会「マドリード・オープン」が中止となったため、代替としてゲーム「テニス ワールドツアー」によるeスポーツ大会「Mutua Madrid Open Virtual Pro」が開催。日本からは錦織圭(日清食品)の出場、他にもラファエル・ナダルやカロリーナ・プリスコバなど超一流の選手たちが参加中だ。
大会は4月27日から30日にかけて開催され、WOWOWでも放送。賞金総額は男女ともに15万ユーロとなっており、経済的に困窮している下位ランキング選手たちの生活支援に使われると発表された。
未だ終わりが見えない状況での生活は厳しく、今後についても予断を許さないが、部屋にこもってプレイできるゲームが外出を大きく抑制する力となっている。これを機に、ゲームが持つ人を生かす力により注目してもらいたい。
(eスポーツライター 早川清一朗)