「日本一長い駅名」変遷の事情 かつては「観光」強かったが...

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    2020年3月20日、京都市内を走る京福電気鉄道の「等持院」駅が「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」駅になり、同駅は「日本で一番長い駅名」となった。

   この記事では「日本一長い駅名」の歩みを見つつ、今回の改称の利便性を考えてみたい。

  • 京都市内を走る京福電車
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観光を意識した「日本一長い駅名」からの変化

   「日本一長い駅名」となった「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」は読み仮名では単独1位(26字)、表記では同列1位(17字)となる。ここで簡単ではあるが「日本一長い駅名」の歴史を振り返りたい。

   「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」の登場前、読み仮名で「日本一長い駅名」は2015年改称の富山地方鉄道「富山トヨペット本社前(五福末広町)」(24字)であった。2015年以前は鹿島臨海鉄道「長者ケ浜潮騒はまなす公園前」と南阿蘇鉄道「南阿蘇水の生まれる里白水高原」が同列一位(22字)であった。

   表記では、先述した「富山トヨペット本社前(五福末広町)」と東京ディズニーリゾート内を走るディズニーリゾートラインの「リゾートゲートウェイ・ステーション」、「東京ディズニーランド・ステーション」(17字)となり、現在も「日本一長い駅名」を名乗る資格を有する。ところで、2001年~2007年までは島根県にある一畑電車「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前」が読み仮名、表記でも単独日本一位だったが、美術館の閉館により駅名が短縮されてしまった。

   2015年以前の「日本一長い駅名」は観光施設や文化施設に由来し、南阿蘇鉄道のケースは観光を強く意識した駅名に思える。一方、富山地方鉄道や京福電気鉄道の改称は観光を意識したものではなく、「日本一長い駅名」事情も変化しているように感じる。

背景にある学校法人との連携・協力協定

   「日本一長い駅名」誕生の背景には立命館大学などを運営する学校法人立命館と京福電気鉄道との連携・協力協定の締結がある。3月13日、両者は地域社会の発展と人材育成への貢献を目指し、連携・協力に関する協定を締結した。

   従来京都市内に「立命館」と付く駅名はなく、京都市バスには衣笠キャンパス付近に停留所「立命館大学前」が存在する。京都市外の住民にとって立命館大学衣笠キャンパスへは阪急電鉄西院駅などから京都市バスに乗るというイメージが強い。京都市バスはオンシーズンになると渋滞や観光客の乗降により時間を要すため、衣笠キャンパスは検索アプリに表示される所要時間以上に「遠い」というイメージがある。

   恥ずかしながら、筆者は今回の改称を通じて京福電車で衣笠キャンパスにアクセスできること知った。改称を通じて渋滞知らずの鉄道(一部は道路の上を走るが)でアクセス可能であることを知り、衣笠キャンパスが心理的に近くになった。

(フリーライター 新田浩之)

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