「投手が捕手のサインに何度か首を振る時は...」
攻撃の場面で、ランナーが1塁に出た際、野村監督はこう指示を出したという。
「投手が捕手のサインに首を振ったら盗塁しろ」
野村氏の采配はズバリ的中したという。1塁ランナーは抜群のタイミングでスタートを切り、盗塁の成功率は急激に上がった。他球団からは、ヤクルトが投手のクセを完全に読んでいるとの声も上がったという。橋上氏は野村氏の指示の意図を次のように解説した。
「当時、投手のけん制はほとんど捕手が出していました。捕手がけん制のサインを出したならば普通は首を振りません。ですので投手が首を振った時点で、ほぼけん制はないということです。だからランナーはけん制を気にすることなく思い切ってスタートを切ることができる。野村さんは投手の心理も分析していて、『投手が捕手のサインに何度か首を振る時は、投球に集中している時だからランナーにはあまり集中していない』とおっしゃっていました」(橋上氏)