SARSのときも遅かった消費の回復
中国の経済回復の兆しは公共工事からだった。3月の中国国内の有力掘削機の販売台数が4万9408台に上り、昨年同期比で11.6%増の伸びとなったことにそれが現れている。
4月15日に国家エネルギー局が公表した、3月の電力使用量は、昨年同期比で5.6%増となり、生産の回復が順調であることを示唆している。
しかし、コロナウイルスの第2波に備え、北京などでは、ほとんどのレストランがまだ完全な営業に戻っていない。大人数の会食はもちろん厳禁であり、レストランの中での食事はできるが、基本はまだ持ち帰りだ。スーパーも客が多くなるのではないかと常に警戒している。病院は今も急を要しない病気なら極力、外来に来ないよう求めている。映画館、スポーツイベントなどはいまだに完全に営業禁止である。
2003年の北京などで感染が拡大したSARS(重症急性呼吸症候群)の際も、2004年になって生産はV字回復したが、消費はなかなか回復できなかった。今回の場合その時にくらべても、レストランなどの消費はかなり制限され、自粛ムードも社会に溢れている。また、中国からの輸出も海外でのコロナ禍の拡大によって今後はますます厳しくなる。
IMFは「世界はマイナス成長が5年続く」と予測している。一人勝ちに見える中国といえども、今度のコロナショックを乗り越えるにはしばらく時間がかかりそうである。
(在北京ジャーナリスト 陳言)