世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット(以下コミケ)」で注目されてきた、コスプレ・同人文化に危機が訪れている。
新型コロナウイルス感染症拡大防止による外出自粛の動きや政府の緊急事態宣言を受け、コスプレに対応していた撮影スタジオや、同人誌専門の印刷所が「存続の危機」を訴えるところも出てきた。
クラウドファンディングで支援の動きも
同人誌即売会で知られるコミケには、たくさんの「コスプレイヤー」と呼ばれるマンガやアニメのキャラクターの仮装「コスプレ」を楽しむ人々や、コスプレ撮影を行うコスプレカメラマンが参加する。コミケ公式サイトによれば、2019年12月29~31日に開かれたコミケ97では、三日間で合計2万5133人がコスプレ参加をするための更衣室登録を行った。SNSやイベントでの交流活動が広がったこと、「えなこ」さんのように事務所に所属するコスプレイヤーがテレビや雑誌などのメディアに登場するようになったことなどからも、コスプレ文化は広まりつつある。
このような多数のコスプレイヤーやコスプレカメラマンのニーズに応えるため、近年はコスプレ撮影に対応するスタジオも現れた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で多くのスタジオは臨時休業を行うことになった。アニメイト(東京都板橋区)グループの、コスプレ専門スタジオを運営するハコスタ(大阪府大阪市)は、緊急事態宣言が発令された翌日4月8日から、3つのスタジオを臨時休業としている。
利用者が減少したことにより運営費が確保できなくなったスタジオからは、悲鳴が上がっている。東京都葛飾区にある撮影スタジオ Lumiere'k(リュミエール)は4月23日、「新型コロナウィルス感染症の影響で予約キャンセルが相次ぎ、2020年4月度より売上が『9割減』となってしまいました」とし、「撮影スタジオ Lumiere'k 存続プロジェクト」と称したクラウドファンディングを開始した。「スタッフの人件費や運営の必要経費を捻出するのが困難であり、今後の売り上げも見込めず、見通しも全く立たない現状です」と窮状を訴えている。
ツイッター上ではコスプレ関連のアカウントから「スタジオさんも経営が難しくなってコロナが終わってもコスプレできる所少なくなるのでは?と思ってる」、「スタジオもコロナ終息まで何店舗残っててくれるのかなぁ...」、とスタジオの存続を心配する声や、「余裕のある方は存続の為にも協力しましょう!!!!!」とクラウドファンディングなどへの参加を呼び掛ける声が上がった。