突然の「外勤禁止令」、医療現場で何が起きているか 働きたいけど働けない――日大医師の苦悩

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コロナ終息には「無給医問題」是正を...ユニオン主張

   無給医問題をめぐっては、文部科学省が20年2月に公表した調査結果では、108病院(99大学)のうち59病院で計2819人いた。不払いだった病院は「自己研さん・自己研究等の目的、または大学院の研修の一部という目的で、診療に従事していた」などを理由にする。日大板橋病院でも93人いた。

大学病院で診療に従事する教員等以外の医師・歯科医師に対する処遇に関する調査結果/文科省
大学病院で診療に従事する教員等以外の医師・歯科医師に対する処遇に関する調査結果/文科省

   医師労働研究センターの「無給医実態調査報告書」(20年2月公表、46人回答)によれば、無給医の大半は30代の既婚者で、大学での立場は「大学院生」が48.8%で最多だった。

   全国医師ユニオンは20年4月、加藤勝信厚労相に宛てた要請書の中で、新型コロナの終息には無給医問題を解消する必要があると説く。

「日本無給医の会の調査では大学院生がCOVID-19(型コロナウイルス感染症)対策に駆り出されている。例えば慶応大学病院では時給1100円で最前線に駆り出されている。しかもCOVID-19感染患者の治療に当たっていた若手医師が重症感染を起こしているにも関わらず、上司からは『感染しても労災などにはならない』と言い放たれたとの悲痛な声が寄せられている。いわゆる『無給医』の多くは大学院生であり、今回のCOVID-19との闘いにおいてもパワーハラスメントの下で、非人道的な扱いを受けている。

さらに『無給』・無権利状態でCOVID-19感染者やその疑いがある患者の対応を強いられている医師が存在することも予想される。『無給医』問題が報道され文科省が調査を行った後も、無給のまま働かされている大学院生がおり、改善策を実施したとする大学病院においても、最低賃金ぎりぎりの賃金しか支払われていない。このような無給医問題や低賃金問題を放置したままではCOVID-19との闘いに勝つことも、日本の医療を守ることもできない。

今後COVID-19の感染拡大が続けば、初期研修医や後期研修医もその対応に直接・間接に関わらず駆り出される事態が危惧される。大学院生や研修医であっても診療行為に従事しているような医師については、労災保険法上の労働者であることは明らかであり、COVID-19対策に従事したことに起因して感染した場合に労災保険の対象となることは当然である。

国(厚労省及び労基署)に対しては、大学病院による『労災隠し』を防ぐために、大学院生等のいわゆる『無給医』であっても、労災保険の対象となることを各大学病院に周知徹底することを求める。また、これを機会に国が『無給医』問題をなくす抜本的な対策を取ることを求める」
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