高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
過去最大発行でも「国債暴落」起きない理由

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「連結ベース」で財務状況をみる

   政府のバランスシートは、資産675兆円、負債1258兆円。政府の財務状況をみるためには、政府だけでは不十分で、その関係会社を含めた連結ベースのバランスシートが必要だ。これは、トヨタの業績をみるためには、トヨタ単体ではなくトヨタグループ全体を合わせた連結ベースで見なければいけないのと同じ理由である。

   実は、政府も連結のバランスシートを作っている。最新版で、資産1013兆円、負債1517兆円だ。しかし、その中に、本来であれば連結ベースに入れるべき中央銀行の日銀を含めていない。日銀のバランスシートで資産557兆円、負債557兆円であるので、連結ベースでは資産1570兆円、負債2074兆円だ。しかし、負債のうち日銀分の日銀券と当座預金の合計501兆円は原則として利払費なしなので、経済的な意味での負債性はない。ということは、実質的な連結ベースの政府全体のバランスシートは、資産1570兆円、負債1573兆円となる。

   ちなみに、中央銀行を含めて、バランスシートをつくり政府の財政状況を判断するのは常識であり、IMFのレポートでも世界各国の状況が掲載されている。それによれば、日本の状況は世界の先進国の中でもいいほうの部類である。新規国債発行額58兆円を日銀が購入すれば、日銀を含めたバランスシートは変化ない。ここでも、国債暴落は起こらない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「韓国、ウソの代償」(扶桑社)、「ファクトに基づき、普遍を見出す 世界の正しい捉え方」(KADOKAWA)など。


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