「ミュージシャンの政治的な発言は聞きたくない」ーー。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がる中、こうした声が自身のツイッターに寄せられたシンガーソングライターの七尾旅人(ななおたびと)さんは「現実が見えてなさすぎ」と持論を示した。
地元のライブハウス「無くなってしまっていいのか?」
七尾さんは1998年にデビュー。独特なメロディセンスと透明感のある歌声が特徴で、音楽ファンから根強い人気を得ている。参加アーティストの楽曲を買うと、その購入額が新型コロナウイルスの影響で困窮するライブハウスへ寄付されるプロジェクト「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」にも参加している。
七尾さんは新型コロナウイルスの影響が社会に広がる中で、ライブハウス業界の厳しい現実や日本政府の政策に対する批判をツイッターで発信してきた。そうした中、ユーザーから七尾さん宛てに「政治的な発言は聞きたくない」という内容のリプライが送られたことを受け、20日夜のツイートで、
「つーか、おれ普通に失業者だし、コロナが収束しても次ギャラが振り込まれるの秋だよ」
と自身が経済的な影響を受けていることを明かした。
それでも自身は「生き延びる自信がある」とした上で、「散々お世話になったライブハウス等はもう1秒の猶予もなく危機的状態です。ランニングコストが違うから」とライブハウスの窮状を訴えた。
エンタメ業界は「最初で最後」
続くツイートでは、
「音楽は好きだったのに政治的発言が...と言ってくる人はこれまでもたくさん居たけど、今の状況でミュージシャンたちにそれを言う人は、現実が見えてなさすぎ」
と持論を示し、「昨夜(ツイッターで)絡んで来た人の地元にも、いわきソニックという本当に素晴らしいライブハウスがある。無くなってしまっていいのか?」と問いかけた。
七尾さんのツイートに対し、翌21日には「はるかぜちゃん」の愛称で知られる女優の春名風花さんが反応した。
「劇場やライブハウスは一番最初に自粛に協力して、たぶん一番最後まで復活できない。何も言うなと言われるのは黙って死ねと言われるのにも等しいので、発言するのはあたりまえです。それに芸事に関わっているいないに関わらずみんな政治や世の中のことについて自由に発言する権利くらいありますよね」
と、「政治的な発言」をすることに理解を示した。
春名さんのツイートを受け、七尾さんは、
「基本的に皆苦しい状況なので、これは言わないようにしてたけど、エンタメ業界は、最初で最後なんだよね。それでも別に大した文句も言わず、暴動を起こしたりもせず、皆さん、社会に対して献身的に動いてる。だけど最低限の批判や提言をするのは、当たり前だよなと、思います」
と語った。
音楽は好きだったのに政治的発言が…と言ってくる人はこれまでもたくさん居たけど、今の状況でミュージシャンたちにそれを言う人は、現実が見えてなさすぎ。
— 七尾旅人 (@tavito_net) April 20, 2020
昨夜絡んで来た人の地元にも、いわきソニックという本当に素晴らしいライブハウスがある。
無くなってしまっていいのか?
わけわからねー。